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vol.61「実は宇宙人?音の持つ力にいち早く目覚めた人 ~谷村新司さん『音楽に国境は無い』~」

小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術 vol.61「実は宇宙人?音の持つ力にいち早く目覚めた人 〜谷村新司さん『音楽に国境は無い』〜」 【今週の目次】 ============== 1. 成美のつぶやき └ 山崎まさよしさんの歌唱拒否ニュース └ ギターが僕の恋人 2. 実は宇宙人?音の持つ力にいち早く目覚めた人 〜谷村新司さん『音楽に国境は無い』〜 └ デビューの原点は1970年の大阪万博 └ 海外での一文無しを乗り越えた音楽のチカラ └ 大赤字!?景気付けに呼んだ大物ミュージシャン └ アリスの大躍進、そしてソロ活動へ └ 『音楽に国境は無い』 └ 谷村さんは宇宙の人だった!? └ 特別対談「ねばならない」の 生き方をやめる 3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ 4. お知らせ ============== 1. 成美のつぶやき 山崎まさよしさんの歌唱拒否ニュース 皆さんこんにちは。 今年も残すところ2ヶ月を切りました。初秋のような気候が続いたかと思えば、気温10度を切っていきなり冬の訪れを感じた日もありますね。年末に向け、体調に気をつけてまいりましょう。 今回のつぶやきは、先ごろ話題になった山崎まさよしさんの「歌わないコンサート」についてお話ししたいと思います。 山崎まさよしさんの全国ツアーは、2023年10月9日の神奈川ハーモニーホール座間大ホールを皮切りにスタートしまた。山崎さんのツアーは、1997年の弾き語りライブツアー『YAMAZAKI MASAYOSHI ONE KNIGHT STAND TOUR ’97』からはじまり、今回で10回目を迎えます。 山崎さんの原稿のために、ツアー取材したこともある私には、以下のニュースは信じられませんでした。 10月21日、茨城水戸市民会館グロービスホールで開催された公演で、山崎さんが歌唱拒否をしたというのです。ヤフーニュースのトップやXのトレンドキーワードにもなっていましたからご存知の方の多いでしょう。 水戸のステージ上に上がった山崎さんは、「あまり歌いたくない」「お客さんと話がしたい」などと語り出し、歌うことを拒んで、本当に客席のお客さんと話し込んだのだそうです。 観客から「歌って!」と求められたものの、奔放なトークは止まらず、なかなか歌おうとしなかったため、泣き出すファンや途中で席を立つ観客など、ライブの雰囲気は最悪に。約2時間半のライブで、本来は20曲以上歌う予定が、この日は8曲にとどまり、そのまま終了しました。 「きょうは歌いたくない」という発言も、中身がなく取り留めのないトークが続いたとライブの様子も、ファンの投稿でSNSに溢れ返りました。瞬く間に拡散され物議を醸したこの騒動に、山崎さんが所属するオフィスオーガスタは公式サイトで23日に謝罪し、チケットの払い戻しに応じると発表したのです。 アーティストが実際に行ったコンサートのチケットを払い戻すなど、前代未聞です。ツアーを主催した事務所も、山崎さん自身も、大きな損害を負ったでしょう。 続く、11月2日名古屋市での公演は予定通りに開催され、山崎さんは「この度は、みなさまにご迷惑とご心配をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。そして、途中のMCでは「こんな大事になるとは思わなかった。今の時代は凄いね」と漏らす場面もあったとか。満員のファンからは、「もっと語って」の声が飛び、拍手と爆笑が巻き起こったそうです。 水戸の公演で、なぜ山崎さんが歌を歌わなかったのか、明確な理由は山崎さんの口からは語られていませんが、チケットの売れ行きが悪く、当日券が発売されたり、空席があったりしたことが原因だと推察する記事がありました。 皆さんがもし山崎さんのファンで歌わないコンサートを見ていたなら、許すでしょうか、それとも怒って帰りますか? 大好きな山崎さんのコンサートへチケット代を支払って見に行ったのに、「歌いたくない」と言われたら、それはプロのシンガーとしてあるまじき行為だと怒って当たり前です。立派な職場放棄ですし、歌を楽しみにしていたファンへの裏切りにも当たるかもしれません。 ギターが僕の恋人 一方で、私は8曲しか歌わなかったコンサートは、モチベーションやコンディションが万全でなかったアーティスト・山崎まさよしさんの心模様の素直な反映です。そこにいたお客さんは、ナイーブでわがままな人間・山崎まさよしにダイレクトに触れたわけで、作家としては、ステージの山崎さんとお客さんのやりとりも含め、好奇心を掻き立てられています。 私が取材した際、山崎さんは、「小松さん、僕は人間関係が苦手で友達もいませんが、こいつがいるから大丈夫なんです。ギターが僕の恋人なんですよ」と、照れながら話しました。 家にいて、食事とお風呂と寝ている時間以外は、ずっとギターを抱いていて、弦を触っているのだそうです。新しい旋律を追い求めて(作曲ですね)何時間も弾いたり、ビートルズからSMAPのようなアイドルの楽曲まで、好きな曲を切れ間なく弾いたり、「自分でもよく飽きないなと思います」と笑い声をあげていました。 山崎さんは滋賀県草津市生まれ、山口県防府市育ちで、高校卒業後ミュージシャンを夢見てバイト生活を続けます。バーでバーテンダーをしたり、係留された船から港に荷物を運ぶ沖中士をしたり、タフな男っぽいバイトを続けながら、プロへの道を諦めずにいました。 ある日、応募したオーディションのために上京し、審査の部屋に入ると、それはなんと俳優の選考会でした。なんと最終審査で初めてそのことに気がついた山崎さんは、唖然とする審査員を前に、突然にギターを掻き鳴らし歌ったのだそうです。 素晴らしい歌声を響かせた山崎さんは、このオーディションで「審査員特別賞」に輝きました(笑)。俳優を審査する審査員の中に一人、レコード会社の人がいて、その方の口利きで、なんとかレコード会社と契約することができたのでした。 防府市から上京した山崎さんは、横浜に住んで、マネキン運び(マネキンをアパレルのショップに運ぶのだそうです)のバイトをしながら、小さなライブを重ねてきます。 「お客さんが一人もいないことがありました。事務所のマネージャーとレコード会社のスタッフを前に歌ったんです。だから今こうして“恋人”と一緒にツアーを回って、お客さんに歌を聞いてもらえるなんて、夢のようですよ」 そう語っていた山崎さんも、50代を迎えベテランと呼ばれる世代になりました。もう2度と、お客さんを悲しませるようなことはしないでしょう。 私は、いつの日か新たな取材で、水戸のコンサートでの真実を聞いてみたいと思います。 山崎まさよし OFFICIAL WEBSITE

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  • これまでノンフィクション作家として、たくさんのトップアスリートやトップ経営者の唯一無二の「人生」を取材してきました。その経験をもとに、書籍だけでは書ききれなかった小松成美流のコミュニケーション方法や独自哲学を伝えていきたいと思います。経営に、スポーツに、文化に。多岐に渡って、学びあるコラムを配信して参ります。誰もが発信者となる時代に、是非ご参加ください。
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