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中国「上げ底経済」、世界覇権戦略へ深刻な打撃 米国と「本格対決望まず」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/11/16
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急悪化する消費者心理 対内直接投資マイナス 教条主義へ嵌まる悲劇 一帯一路で寿命縮める 中国は、秋口の到来とともに経済活動が冷え込んでいる。10月、国慶節に伴う大型連休も人出は多かったが、人々の財布の紐は固く縛ったままだ。消費者心理は、急速に冷え込んでいる。中国経済を象徴する住宅不況には、なんら改善する動きもない。未完成物件が、全土に放置されたままである。政府は、地方政府に対して工事再開を支援するよう呼びかけているが、財政措置のない「かけ声」に過ぎないのだ。 この事態を目の当たりにする国民が、「ピーク・チャイナ」「中国経済繁栄は終わった」という実感を抱くのは当然である。習近平国家主席は、こういう国民感情を理解できないほど「雲の上」の人間になっている。習氏は、9月の最高幹部会議で不動産開発企業の救済をしないと発言した。消費者は、未完成物件を掴ませられているが、その心情を全く無視しているのである。政府を信頼できないという国民の絶望感は、全土へ拡大させることになった。 急悪化する消費者心理 中国では、商魂たくましく「11月11日」を1並びの日から「独身の日」と名付けてバーゲンセールに利用してきた。不動産バブルと歩調を合わせる形で年々、売上規模が拡大したのだ。刻々と増える売上状況は、テレビで実況放送されるほどで、日本の茶の間にもその熱気が伝わった。高額商品が、次々と売れていく様子に刺激され、新たな需要を呼び込むものだった。この「独身の日」の売上総額は今年、前年比でわずか2%増に止まった。昨年は、14%増であったから「激減」である。 中国の経済活動は10月に失速した可能性が高い。統計は、昨年との比較で良好に見えても、実際はこれからの経済活動鈍化の芽が隠されているようだ。『ブルームバーグ』(11月14日付)は、こう報じるまでになった。 現在の中国では、「独身の日」セールスで買い物をするムードにない。失業者が激増している中で、若者はショッピングよりも「職探し」で血眼である。日本企業は、中国で求人を始めているが、日本企業は安定しているという評価で、多くの就職希望者が説明会へ集まっている。「反日の中国」で、嫌いな日本へ就職したいほど切羽詰まっているのだ。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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