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日本経済凋落の真因を探る(第20回): 自動車産業の危機(その3) 辻野晃一郎のアタマの中【Vol.31】

『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』  ~時代の本質を知る力を身につけよう~【Vol.31】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【今週号の目次】 1. 気になったニュースから  ◆ 学級崩壊状態の岸田政権 2. 今週のメインコラム  ◆ 日本経済凋落の真因を探る(第20回): 自動車産業の危機(その3) 3. 読者の質問に答えます! 4. スタッフ“イギー”のつぶやき ───────────── 2. 今週のメインコラム ───────────── ◆ 日本経済凋落の真因を探る(第20回): 自動車産業の危機(その3) 前回は「ジャパンモビリティショー2023」の見学報告をしました。その中で、テスラが出展していなかったことと、会場に外国人の姿が少なかったことは報告しましたが、肝心なことに触れるのを忘れてしまいました。それは、海外メーカーで出展していたのが、ドイツのメルセデスベンツとBMW、および中国のBYDの計3社だけだった、ということです(前回これら3社のブースの写真は載せました)。 もっとも、リーマンショック以降は米国勢が撤退し、海外メーカーの出展は減少していて、コロナで中断する前の2019年には4社でした。SNSなどの普及もあり、費用対効果の観点から、海外で開催されるモーターショーへの出展を見送ったり限定したりするメーカーが増えているのは世界的な傾向のようです。 とはいえ、かつては世界5大モーターショーの一つとされた従来の東京モーターショーを衣替えして4年ぶりの開催ということもあり、主催者の日本自動車工業会としては、何としてもイベントの成功をアピールしたいでしょう。また、プレスデーなどを含めると、11日間にもおよぶこれだけ大きなイベントを支えた裏方の人たちや出展メーカー各社のご苦労には素直に拍手を送りたいと思います。ですが、果たしてこのイベントは本当に成功だったのでしょうか。 まず、前回も書きましたが、今回の来場者数は1,112,000人と発表されています。目標の100万人は超えたのでその点では成功と言えるのでしょうが、ピークの200万人超からは半減、前回2019年の来場者数130万人からも大きく下回っています。 トヨタ会長で日本自動車工業会会長の豊田章男氏は、モーターショーへの来場者数が減少傾向にあるのは世界的な現象であるとし、それでも、日本で100万人以上集客できるイベントは夏の甲子園とこのモーターショーだけだと胸を張っていました。 しかし、繰り返しますが、テスラは出展しておらず、海外メーカーの出展はわずか3社で、会場には外国人の姿もあまり見掛けませんでした。国際モーターショーそのものの地盤沈下もさることながら、日本を代表するグローバル産業となった自動車産業も、今や海外から見ると、かつての魅力がすっかり薄れてしまったことは否めません。 3社の海外メーカーの中で、特に今年から日本市場に進出した中国のBYDは、このイベントを彼らの宣伝や商談の絶好の機会と捉えてしたたかに利用していました。何せ彼らのブースは販売店のショールームと同じで、コンセプトカーよりも、日本市場に導入している実車モデルを主体に展示していたからです。 BYDは、日本向けのホームページの中でも、日本政府からの補助金について積極アピールしています。 前回も述べましたが、EVに出遅れて日本の自動車産業が危機に瀕する中にあって、日本政府もあまりにお人好し過ぎるのではないでしょうか。 最終日の11月5日に、豊田章男氏とマツコ・デラックス氏の対談形式による「ジャパンモビリティショー大反省会」というイベントがあったそうです。 その模様を収録した映像 を観たのですが、その中で気になったことを以下に列記します。--

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