第289号(2023年11月17日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
今週も【揉め事の解決法】についてお話しします。
先週号ではADRについて触れ、ADRの種類である【Mediation (調停)】の
特徴について再度お話ししました。
今週号では、ADRの観点から、Arbitration (仲裁)について再度お話しします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週も国際情勢は混沌としております。
一つ目はやはり【イスラエル・ハマスの終わりなき戦い】についてです。
イスラエル軍がガザ北部に侵攻し、ついには北部最大の病院に突入するという事態に陥っています。
イスラエル軍の報道官は『ここがハマスの司令部であったことは明白』と、AK47などを床に並べて主張していますが、
“証拠”としての信憑性は低いと言わざるを得ません。
軍事的な標的としてはならないと人道法で決められている病院や学校がイスラエル軍の標的にされ、
多くの罪なき子供たちが犠牲になっている状況は、
イスラエル側がどのような言い訳をしたところで許容されるべきものではありません。
イスラエルはハマスをテロリストとして糾弾し、その壊滅を目標に掲げています。
ハマスはこれまで自爆テロを通じてイスラエルの通勤通学のためのバスを爆破するというテロ攻撃を行っていますが、
今、イスラエルがガザで行っていることは、そのテロリストたるハマスと何ら変わりがないのではないかと、
非常に疑問に感じています。
またイスラエルの国連大使が『イスラエル軍が掃討しているものはすべてハマス。病院の関係者も、看護師も、学校の教師も、
そして子供たちもみなハマス。それにUNRWAの職員もみなハマス』と安全保障理事会で言ってのけたことに対しては、
あまりの酷さに言葉もでません。
アラブ諸国を始め、国際社会から即時停戦に向けた圧力がかかる中、
イスラエルは聞く耳を持たず、自らどんどん孤立を深め、出口を見失っているように思えます。
調停も残念ながら、イスラエル側の頑ななスタンスに阻まれ、これまでのところうまく行くどころか、
スタートもできていません。
2つ目は【ミャンマーにおける国軍の窮地】です。
今週に入って各地、特にシャン州において、民主派武装組織が国軍の拠点を一斉攻撃し、
11月16日時点で、すでに130か所が民主派武装組織側に堕ちたようです。
そしてこれまで戦闘機を保有することで空からの攻撃を加え、民主派武装組織に対して優位を保っていた国軍ですが、
その戦闘機が最近、相次いで墜落する事態になっており、もしこれが撃墜によるものであれば、
明らかな戦況の変化が見て取れます。
国軍側は焦りを強め、14日にはミン・アウン・フライン総司令官を交えて対応について協議したようですが、
内戦の激化と民主派武装組織の抵抗の継続に、国軍側が疲弊を極めているようで、
軍の上層部が望むような反撃・反転攻勢が出来ていません。
2年前の2月のクーデター当初は35万人規模と言われた国軍も、実際にactiveなのは15万人ほどと見られ、
この2年半でおよそ2万1000人の国軍兵士が戦死したことで、厭戦機運が国軍の現場に広がっていると思われます。
ミャンマー情勢については、少し曖昧な表現になっていますが、
これはクーデター以降、なかなか信憑性の高い情報に触れることが難しくなっており、
UNのミャンマー担当や、ミャンマーと密接な関係を維持している中国経由での情報がベースになっているためです。
しかし、これまでに入ってきている情報をベースに分析を行った場合、あまり望ましくない状況が予想されます。
国軍による無差別な空爆の実施、地上部隊の全国展開と重火器による一斉攻撃というものから、
ミャンマー情勢の極度の不安定化が周辺国に波及し、
東南アジアから南アジア地域を混乱の渦に巻き込みかねないという懸念まで様々です。
不確定要素も多いため、今回は詳しくは取り上げませんが、いずれこのミャンマー情勢についてもお話しできればと思います。
3つ目は【ウクライナが静かに直面する重大な危機】についてです。
最近は、イスラエルとハマスの戦いの凄惨な状況の報道が多く、
ウクライナ情勢についての報道が少なくなってきていますが、ウクライナの危機はじわりじわりと深まっています。
ロシアに対する反転攻勢は、希望していたほどは進展しておらず、一部ではロシアに押し返される状況になり、
まさに持久戦の様相を見せています。
持久戦になれば、ロシアが優勢と言われ続けていますが、それが固定化するかどうかは、
去年の冬までとは違うレベルに達しているウクライナのミサイルとドローンによる攻撃能力がいかに作用するかだと考えます。
残念ながらウクライナの防空体制は実際にはまだまだ脆弱と言わざるを得ず、
ロシアからの弾道ミサイルによる攻撃には耐えられないと言われています。
よくニュースでは迎撃のお話が出てきますが、ロシアからの攻撃を防ぎきれていません。
ここでウクライナ自身が空での戦闘を行えるようになれば状況は違ってきますが、
今、有効に行えるのは英国から供与されたストームシャドーによる攻撃と、高まる無人ドローン攻撃ぐらいで、
一時期、大きく報じられたF16の実戦投入までにはまだまだ時間がかかるため、
冬の間にロシアが集中的なミサイル攻撃を加えるような場合には、ウクライナは大きな試練に立たされかねません。
そして、あまり報じられないのですが、アメリカ政府の対ウクライナ支援は、
今日11月17日で切れ、このまま連邦議会で支援の延長が合意されない場合は、一旦、打ち切られることになります。
欧州各国が対ウクライナ支援の見直しを進める中、最大の支援国であるアメリカが支援を停止せざるを得ない状況になると、
ウクライナにとってはロシアという強敵を目の前にして、一気に戦場に取り残されることになってしまいます。
ロシア側の動きは見えてきませんが、欧米諸国とその仲間たちの対ウクライナ支援疲れと重なり、
どこかで“ウクライナ紛争を終わらせよう”というドライブがかかるようなことがあれば、
ウクライナにとっては大きな痛手となるだけでなく、
ウクライナを支援してきた欧米諸国とその仲間たちにとっても大きなイメージダウンになるものと思われます。
個人的には、ウクライナ紛争はまだまだ続くような気がしていますが・・・。
【2-国際情勢の裏側】では、今週号もどうしてもイスラエルとハマス問題のお話がメインになりそうですが、
可能な限り、バランスの取れたお話をしたいとおもいます。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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