あっ、またまた話が脇道にそれてしまってすみません。さて世の中に無限
にある本末転倒の中でも、「手段と目的がひっくり返ってしまう」という
本末転倒はよく目にするところであります。というか傍目に「いや、それ
はどう考えてもバカバカしいだろう」と思えることの多くは手段と目的が
ひっくり返っていることによるものです。これは映画の世界でも歴史を通
じてよくあることで、一番よくあるケースとしては「『本物』にこだわっ
た結果、映画の予算が膨れ上がって到底回収できなくなる」というやつが
あります。映画は基本的にイリュージョンで「それっぽく」見えれば何で
もいいというものなんですが(だからセットはベニヤ板でいいし、巨大な
建物を作らずともミニチュアでいいわけです)、「『本物』の迫力こそ至
上」とばかりに無茶に挑んだ結果大変なことになった映画は沢山あります。
もちろんぼくは「本物の迫力」に一定の効果があることを否定するわけで
はありませんが、そこは最終的にどう見えるかということと予算との兼ね
合いで考えるべきであって、なんでもかんでも本物ホンモノとやっている
と映画がいつまで経っても完成しなかったり、完成してもとんでもない予
算オーバーになって映画会社が倒産したり、人死にが出たりするし、そう
やって撮った「ホンモノ」の映像が必ずしも迫力満点になるかといえばそ
うとも限らないので、「本物イズム」にこだわり過ぎるのはこと映画の場
合、やっぱりちょっと「本末転倒」なのではないかと思います。
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