メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

お散歩デジカメ-Premium Version-第6556号 西原自然の森(4)

お散歩デジカメ Premium Version
西原自然の森(4)2023/11/20 (第6556号、通算第7536号) 「銀河鉄道の父」  サンシティ名画劇場の今月の上映作品は「銀河鉄道の父」だった。原作は2017年下半期の直木賞を受賞した門井慶喜の長編小説。感動的な小説だったが、内容が地味であるため映画化されるとは思っていなかった。それがなんと、今年のゴールデンウィークに宮沢賢治没後90年を記念して公開されたのである。でも、地味な、くら~い映画に違いないから、鑑賞してみる気持ちにはならなかった。  だが、サンシティ名画劇場で見られるとなれば話は別。鬼嫁と二人で出かけていき、二人とも涙ぼろぼろで帰ってきた。息子を信じ、全身全霊を傾けて愛し、支え続けた父親の生き様を、役所広司が見事に演じ切っていた。派手な立ち回りがあるわけでも、奇想天外なストーリー展開があるわけでもないのに、父と息子との絆の固さがひしひしと心を打つ作品だった。  高校時代のボクは、ハイデガーの「存在と時間」の難解さをなんとか読み解こうとしたり、麻薬中毒で自殺したゲオルグ・トラークルの詩をドイツ語辞典を引きながら原語で読んだりする半面、日本文学の方では佐藤春夫の「さんま苦いかしょっぱいか」とか宮沢賢治の「アメニモマケズ」を愛唱するロマン派で、友人たちからは「性格破綻者」呼ばわりされていた。つまり、宮沢賢治はボクの心の友とも呼べる詩人なのだ。その父親が主役の映画がこれほどの感動を呼ぶ映画だと知ったのは大収穫というべきだろう。とにかく、いい映画だった。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • お散歩デジカメ Premium Version
  • 写真家キット・タケナガが撮影技術、RAW現像、レタッチなどの解説、ウィットに富んだエッセイとともに、一日一枚のデジカメ写真を配信。読者からの投稿写真への講評も掲載します。
  • 1,100円 / 月(税込)
  • 日刊