強まる軍部長老の圧力
長老が説く対米融和論
急減速確実な中国経済
米へ対抗する国力なし
習近平・中国国家主席は、14億の民がもたらす重圧で身も心も衝撃を受けているであろう。先の米中首脳会談の際に、バイデン米国大統領から習夫人の誕生日が近いと言われ、「仕事に忙しくて、つい忘れていた」とバイデン氏に謝意を言ったという。バイデン氏と習夫人は、誕生日が同じだ。
習氏が、夫人の誕生日も忘れるほど、国務に忙殺されている理由は何か。10年間、首相を務めてきた李克強氏の突然の死亡で、恩讐をこえて相談する相手がいなくなったことが、心に空洞をつくっているはずだ。李氏は、経済学博士号を持っていた。恩師が、改革開放派であっただけに、李氏の政策は自ずと分る。習氏は、これを嫌って李氏追放に動いた。だが、中国経済の立て直しには、改革開放で外国企業の対内直接投資を復活させる以外に道がない。このことが今や、明白になのだ。李氏の助言を受けたかったであろう。
習氏は、米中首脳会談やAPEC(アジア太平洋経済協力)演説などを通して、中国が米国の覇権に取って代わる気持ちはないこと。中国が、外国企業の進出を引き続き歓迎していること、などを強調した。これまで、国内で強調してきた「双循環モデル」(国内市場を重視し、貿易は従的立場)からは一変したのである。対内直接投資の歓迎は、双循環モデルとは異質のものである。中国は、依然として改革開放政策を続け、外国企業の対内直接投資を必要とする國である。
強まる軍部長老の圧力
習氏が、訪米中にみせた「豹変」の裏には、中国軍部長老の圧力があったとみられる。軍部長老といえば、ガチガチの対米強硬論者を想像しがちである。実は、改革開放を実行させたトウ小平時代に軍部に在籍した人たちである。それだけに、米国から受けた諸々の恩恵に対して一定の評価をしているのだ。習氏が唱える「強硬論」と、一線を引いている。
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