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ビジネス知識源プレミアム(水曜刊:660円/月:税込)Vol.1384
<Vol.1384号:正刊:ドル強さが、弱さに転じるとき(3)後編>
2023年11月22日:通貨の価値とは何か?の追求シリーズ
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著者:システムズリサーチ:吉田繁治
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米国経済と米ドルが、来年の2024年、25年にどうなっていくか(円安か円高か)と並び、日本人にとって重要な問題は1994年からの開放経済のあと、28年間も続いた不動産高騰のバブルが崩壊した中国経済の今後でしょう。
米中は直接には輸出入を通じて、間接には、通貨レートと資産の国際的売買を通じて、日本の経済と所得に深い関係をもっています。
最初は、日米欧で全く報道のない、中国の住宅の膨大な不良在庫の問題からです。
中国の人民元は1994年の開放経済以来、29年間ドルペッグですから、米国債の売りによりドルとも関係します。先週から円に対するドル安が始まったように見えますが(1ドル148.1円:11月15日)、これは、初期微動でしょう。世界最高だった米国債の格付けの低下(Aaaネガティブ:ムーディーズ)にも見えるように、ドル安の本格化は、2024年秋から冬に始まると考えています。
【中国の不動産】
中国のGDP(17.7兆ドル:2650兆円:2021年)のうち、不動産投資(民間住宅と公共設備)は、他国に比べ、異常に大きな30%の5.3兆ドル(790兆円)を占めています。
中国のGDPのなかの個人消費は、38.2%(2021年)であり、異常に小さい(米国では70%、日本では約60%)。中国GDPの高い成長の多くの部分は、不良在庫を作った過大な不動産投資によって得られています。
日本では、不動産投資は65.4兆円です。GDP(550兆円)のうち、12%のシェアに過ぎない。中国の2桁から8%くらいのGDP成長率は、GDPの30%という過大な不動産投資によって「偽装的に作られて」きました。中国の経済成長の、闇の部分です。
ところが中国の不動産販売(床面積)は、22年から減っていて、23年7月は、20%減、8月は24%減です。販売面積の減少は、作ってGDP計算には入っていても、売れない住宅在庫の増加と同じことです。GDPの30%の、不動産の建設投資(790兆円)は続いているからです。不動産在庫の増加は、付加価値生産を計算するGDPではプラス要素です。売れ残って価格が下がっても、全戸が作った価格で売れるとして、計算されています。
GDPの30%が不動産建設です。政府の公式統計でも前年比24%も売れないと、2023年のGDPに対してはマイナス6%から7%に相当します。政府が発表しているGDPの5%成長は、どこから見ても、ないのです。中国は、金融恐慌の前夜です。いや、すでに、金融危機です。
◎しかし、不動産の債券と借入金の、利払いと返済の期限は政府によって、先延ばしされていて、平穏に見えるだけです。77兆円の負債をかかえていても、なかなか倒産しなかった不動産会社(1位碧桂園、2位恒大)に現れています。
不動産投資は、1)国有銀行の融資と、2)民間金融の、金利の高い理財商品からの借入金で行われています。
その融資が、不良在庫の抵当物件が売れたとしても、50%以下しか回収できない不良債権(=マネー量の減少)になっているからです。
メカニズムは、お分かりでしょう。「建設会社→借入金で建設工事(GDPの増加)→建設在庫が50%しか売れない→50%の回収できない融資になる→住宅担保を接収→貸し手は破格値で販売するしかないが、それでも、1億戸が売れていない不良在庫」
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