舎人公園(2)2023/11/26 (第6562号、通算第7542号)
秋刀魚の歌
数日前のこの欄にトラークルと「秋刀魚の歌」について触れた。そしたら、普段はちっとも反応がないメルマガなのに、どういうわけか、「トラークルって誰や?」とか、「さんま苦いか塩っぱいか」ってなんや?というような問い合わせが数件あり、「写真を見るだけじゃなく、コラムまで読んでくれる読者がいるんだ!」と、ちょっと驚いた次第。
トラークルについてはいずれまた触れる機会があろうかと思うので、今日は「秋刀魚の歌」について書いておくことにする。
作者は佐藤春夫(明治25年~昭和39年)である。
和歌山県生まれ。中学時代より文学に傾倒。慶應大学中退。雑誌「三田文学」「すばる」などに詩を発表。その後、数々の小説や詩集などを発表。耽美主義作家のひとり。主な作品は、「田園の憂鬱」「都会の憂鬱」「晶子曼荼羅」「殉情詩集」など。
和歌山県新宮市には「佐藤春夫記念館」があり、「秋刀魚の歌」の額がある。人妻とその娘と食べたサンマを思い出しながらの一人の夕餉(ゆうげ)。叙情的でもの悲しい詩だ。
1919年(大正8年)、谷崎潤一郎と出会った春夫は、谷崎から文学的に大きな刺激を受け、親しい交際を続けた。当時、夫にうとまれていた谷崎の妻千代に同情していた春夫の心は、いつしか愛情に変わり、千代をめぐって春夫と谷崎の間に三角関係が生じて、二人は絶交してしまう。
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