「宝塚に野球界、先輩後輩カルチャーの何が問題なのか?」
長い歴史を保ってきた宝塚歌劇団が厳しい批判に晒されています。現時点
では社会的批判の強さということでは、ジャニーズ事務所の問題を上回りつ
つあるようですが、単に厳しい批判を浴びているだけでなく、問題の質に違
いがあるようです。というのは、今回の宝塚の問題は日本の社会に広く見ら
れる様々な問題を含んでいるからです。
それは、「先輩後輩カルチャー」そのものが批判の対象となっているから
です。また「先輩後輩カルチャー」ということでは、東北楽天の安楽投手に
ついても、「行き過ぎたパワハラ」が暴露され、自由契約になるかもしれな
いとされています。こうした動きは、かなり注目すべき動向だと思います。
ただ、今回の議論が「行き過ぎた上下関係は良くない」とか、「ハラスメ
ントやいじめは良くない」といった、「程度問題」や「消去法」で終わらせ
るのであれば、それは不十分です。勿論、いじめやハラスメントは根絶しな
くてはなりません。ですが、問題の本質は別のところにあるのです。
その本質に迫っていかないのであれば、日本社会全体を時代の要請と、新
しい世代の可能性を活かすような改革に持っておくことは難しくなると思い
ます。今回の事件は、日本の「先輩後輩カルチャー」の持っている本質的な
問題にメスを入れる、そのような機会にしなくてはなりません。
この「先輩後輩カルチャー」の最大の問題は、リーダーシップにおける自
動的な権力付与という問題です。つまり、年齢や経験年数という「あまりに
単純な客観基準」によって、上下関係を決定し、上位の人間に自動的に権力
を付与するという社会慣行にあります。
要するに、リーダーシップに関する知識がなく訓練もされていない人物に
自動的に権力を付与しているだけということです。現代のリーダーシップと
いうのは、下位の人間の自発的なモチベーションを引き出して、チームのパ
フォーマンスを最大化することにあります。これと表裏一体となるのが効率
の最大化です。(続く)
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