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韓国「空洞化経済」、貴族労組の高賃金攻勢が生んだ「金融脆弱構造」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/11/30
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中韓企業は同じパターンに 高金利に耐えられない構造 硬直化した社会を変える道 日韓をデータで比較すると 韓国は、過去二度も金融危機に見舞われている。企業の不況抵抗力が弱いことであり、内部留保が少ないのだ。これには、生産性を上回る高い賃金水準が災いしている。生産性に見合った賃金であれば、企業も必要な内部留保が可能になる。酷評すれば、「ハンド・ツー・マウス」(その日暮らし)の経済である。 最近の韓国の賃金水準は、日本に接近している。最低賃金や大企業の大卒初任給では、日本を上回っているのだ。これは、韓国特有の「貴族労組」と呼ばれている労働組合の高賃金攻勢が生んだ結果である。日本の場合は逆である。生産性を下回る賃金に不平も唱えず、唯々諾々と企業の提示する賃金を受け入れてきた。これが、企業の内部留保を手厚くし、世界一の「金満企業」を生んだ背景である。 韓国は、並外れた労組の賃金攻勢で労組員にプラスをもたらした。だが、企業は必要な内部留保もできず、高金利に苦しんでいる。中小企業は、いつ破産するかという瀬戸際に立たされている。自営業にいたっては、「多重債務」の罠に陥っているほどだ。韓国経済は、日本の植民地から独立して78年も経ちながらも、依然として「脆弱構造」のままである。 この裏にあるのは、経済がバランスを取れないことであろう。労組を支援する左派勢力が、国民の半分を占めていることでも分るように、「反企業」や「反資本主義」という理念がきわめて強い國である。日本の野党でも一部の政党以外は、こういう極端な立場でない。政治において、一定のコンセンサスができている。韓国には、それがないのだ。 中韓企業は同じパターンに IIF(国際金融協会)が11月、世界負債最新報告書を発表した。それによると、23年7~9月期基準で主要34カ国のGDP比の非金融企業負債比率は、韓国企業が126.1%でワースト3位になった。1位香港企業で267.9%、2位中国企業の166.9%である。中国企業は、不動産バブル崩壊という歴史的な危機に遭遇している。韓国企業が、こうした中国企業に次ぐ「危機」にあることは、きわめて示唆的である。脆弱構造を示しているのだ。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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