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245回 一流の弁護士と五流の弁護士

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
日本大学の常務理事を引き受けて、自分なりに改革に取り組んできたが、その中でアメフト部の学生たちの大麻使用が起こり、それに対する対応のまずさからマスコミや世間や文科省からの批判を受けることになり、とても反省している。 10月31日に、「アメリカンフットボール部薬物事件対応に係る第三者委員会」からの調査報告書が出て、我々執行部の責任が厳しく問われ、それに対する対応を我々の中で協議するだけでなく、外部からの弁護士を議長をお願いして、「第三者委員会答申検討会議」を設立して、改善計画や責任の所在について検討を重ねていただいた。 11月30日に、その検討会議が『「学校法人の管理運営に関する適切な対応及び報告(指導)」に対する本法人の今後の対応及び方針』というのを出した。 その責任の所在についての検討の結果に基づいて、酒井学長が年度末までに辞任、澤田副学長が12月いっぱいで辞任、そして林理事長が半年間、50パーセントの減俸と決まった。 この「対応及び方針」の中では、私を含む、「他の常務理事や澤田副学長以外の副学長らについては(情報提供が十分になされなかったので)その責任を問うことはできないと考えます」とされているが、やはり対応が悪かったことは事実なので、減俸か給与の一部自主返納ということになる予定だ。 前の第三者委員会の報告書は全文日大のHPで公開されたし、この「対応及び方針」も全文公開されたわけだが、野次馬のようなテレビコメンテーター、とくに弁護士の資格だけもつような人間があれこれとコメントをするわけだが、やはり一流は違うと痛感する。というか、五流は本当にレベルが低いと感じてしまう。 医者のような仕事をしていると、ヤブ医者と一流の医者の差が大きい。 医者も弁護士も資格をとってしまえば、原則的に何の勉強をしていなくても、一生免許を取り上げられないので、こういうことが起こる。テレビにでる医者や弁護士が偉いと思っている人が多いようだが、テレビにとっては使いやすい医者や弁護士とか、たまたまプロデューサーの知り合いとかいう理由でテレビに出る人は多い。 そのため、コロナ禍のころは、不安を煽り、コロナが怖いとか、ワクチンは無害だというような医者しかテレビに出られなかった。 そして、こういう医者のいうことを聞いて閉じこもり生活をしてきた高齢者たちが要介護状態やフレイルになっていった。自分のやっている医療の害が考えられない人しかテレビには出られないのだ。実際、私の尊敬する医者は何人かいるがテレビに出たのを見たことがほとんどない。(木村盛世先生は数少ない例外だ。近藤誠先生もテレビでは見かけなかった) 同じように弁護士も、一流の弁護士というのは記者会見などで見かけることはあってもテレビのコメンテーターなどはやらない。 情報ワイドでおなじみの弁護士というのは、要するに使いやすいコメントを言ってくれるか、テレビ局の人たちの知り合いに過ぎない。 と思っていたら、元女子アナの弁護士コメンテーターが本当にクズだとわかった。 「アメリカンフットボール部薬物事件対応に係る第三者委員会」からの調査報告書の全文を読んだといばっていたが、澤田副学長も酒井学長も林理事長も同罪だとしか思えないとのたまっていた。 この委員会の委員長の綿引万里子弁護士は、女性初の名古屋高裁長官になった人で、残りの二人の委員も企業法務などで超一流の弁護士だ。 そして、この報告書では丁寧に責任の所在やガバナンスの機能不全の程度を報告されていた。 しかしながら、この報告書が出ても責任を取ろうとしない人がいたので、あらためて「第三者委員会答申検討会議」が設置された。この議長が、久保利英明弁護士だ。この人は一流中の一流の弁護士で若いころは、その裁判の強さが相手方まで納得して、自分の弁護士に雇おうとした伝説が残っているし、コンプライアンスや企業統治の概念を日本に持ち込んだ第一人者と言われる。 その報告書をもとに、『「学校法人の管理運営に関する適切な対応及び報告(指導)」に対する本法人の今後の対応及び方針』が出された。 この報告書には、澤田副学長、酒井学長、林理事長の責任が明記されている。 そこには、「澤田副学長の責任は最も重いと言わざるを得ません」とされ、「酒井学長の責任は重いと考えます」と続き、林理事長については「これは理事長個人の責任というよりは、理事長が正しく判断をすることができるよう体制を整備するという組織的対応の問題であるともいえる」と3人の責任にはっきり軽重をつけている。 五流と一流でこんなに判断が違うのかとあきれるだけだ。 そのほか、菊地という弁護士が、澤田副学長が林理事長をパワハラで訴えた件に関して、「これは(パワハラが)認められる余地はある」と指摘したそうだ。その理由として、「理事長が適正な手続き無しに理事会の出席を禁じる権限はない」とテレビ番組で語ったという。 ただ、澤田氏が理事会そのほかの会議に出席を禁じられたのは、澤田氏以外の会議のメンバーの総意であったし、出ないように命じに行ったのは、林理事長でなく酒井学長だった。 こんな基本的な背景情報も知らないで、勝手にきめつけるのは、やはりご竜弁護士と言われても仕方ないだろう。 ということで、テレビに出る弁護士は、テレビに出る医者同様、やはり五流なのだという感が余計に強くなった。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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