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習近平氏、「教条主義」と「奢り」が招いた経済危機「処方箋はあるか」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/12/04
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指標が示す暗い予告とは 自己過信の罠に嵌まった 古典的製造業信仰の限界 新BRICSは烏合の衆 習近平・中国国家主席は現在、最大のピンチを迎えている。中国の不動産バブル崩壊によって、経済の根っこが大きく揺らいでいることだ。習氏は、憲法を改正して国家主席の任期である2期10年を撤廃し終身国家主席を目指している。中国を取り巻く危機は、全てここから始まっている。習氏一人が、中国政治を取り仕切ろうとすること自体に間違いの根源がある。助け船になるべき改革開放派が排除された結果、経済路線の変更が不可能だ。 日本固有の陸上競技である駅伝は、タスキをつないでゴールを目指す競技である。これは、民主政治のスタイルでもある。習氏は、駅伝を拒否してマラソンでゴール(中華民族再興)を目指すそうとしている。だが、レース途中でバブル崩壊という大きな岩に行く手を塞がれている形だ。選手交代できないところに、悩みの深さがある。 習氏は、なぜ改革開放派をすべて排除したのか。市場経済化が進めば進むほど、共産主義の正統性が希薄化することへの恐怖である。これが、やがて中国共産党の正統性を揺さぶる事態になるからだ。習氏はそこで、市場経済化にストップをかけるべく、「共同富裕論」を持ち出した。この共同富裕論は、中国共産党の象徴だが中身はゼロである。これを実現する政策手段がないのだ。単純なアドバルーンに止まっている。 指標が示す暗い予告とは 「共同富裕論」の精神に基づけば現在、3000万戸とされる住宅未完成工事住宅が放置されている。これ自体が、大きな矛盾なのだ。毎月、消費者は住宅ローンを払いながら購入した住宅が、未完成のままに放置されている。こういう事態は、法的にもあり得ないことである。いくら、民間の取引といえども政府が介入すべき対象であろう。中国指導部は、これに無関心を装っている。財政負担が増えるからだ。共同富裕論から外れた対応である。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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