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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」
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第649号(2023/12/3) rate cut euphoria で暴走したダウ、ナスダックは劣後/世界株価はいずれ変調を来たそう
この週刊「世界経済・市場花だより」は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット馬渕治好が、わかりやすく解説します。
※ 自主開催セミナーの予定です(カッコ内は、現時点でのお申し込み数/定員、です)。残席は、10を下回った場合に表記します。
12/9(土)横浜(7/20)
12/23(土)名古屋(5/25)
1/7(日)浜松町(4/30)
1/27(土)高岡(1/25)
2/3(土)大阪(2/18)
2/10(土)浅草(10/20)
2/17(土)福岡(1/20)
2/24(土)ウェブ(5/150)
セミナーのスケジュールは、
http://bd-fleurettes.eco.coocan.jp/sub3.html
のページの下の方にあります。詳細やお申し込みは、それぞれのリンク先をご覧ください。
上記ページには、自主開催以外のセミナーの予定も載っています。
☆過ぎし花~先週(11/27~12/1)の世界経済・市場を振り返って
<rate cut euphoria でニューヨークダウは暴走、それに対してナスダック総合指数の劣後が先行きの暗雲を示唆か、為替市場はほぼ全面的な円高>
(まとめ)
先週は、ニューヨークダウ工業株指数が週末にかけて大きく上振れしました。そうした動きに目を奪われてしまいますが、ナスダック総合指数の動きは、金利低下をテーマとした相場付きとされるにもかかわらず、ダウとかけ離れて冴えず、底流で静かに物色動向に(将来の全面的な株価下落を示唆する)変化が表れ始めていると考えます。
為替市場では、米景気の悪化を正しく反映した米ドル安や、引き続き不振な欧州経済を踏まえた欧州通貨安が進んでおり、消去法的にほぼ全面的な円高となっています。
(詳細)
先週の世界市場で目立ったのは、週末にかけてのニューヨークダウ工業株指数の暴騰でした。
このところのニューヨークダウは、じわじわと上値を伸ばしており、11/29(水)は35430.42ドルに達していましたが、そこから12/1(金)の週末には36245.50ドルと、わずか2日間で約815ドルもの急上昇を遂げました。またこの急騰により、これまでの終値ベースでの年初来高値(8月1日の35630.68ドル)を一気に上抜けた形です。
こうした米株価の上昇は、連銀は近いうちに利下げするに決まっているとの決めつけによるもので、米国では rate cut euphoria(利下げについての過度の陶酔感)と皮肉られています。
こうした利下げの決めつけにより、市場は正常な判断ができなくなっているようです。
パウエル連銀議長は12/1(金)の講演で、「適切だと判断すればさらに金融政策を引き締める用意がある」と述べたうえ、今後の政策決定はデータ次第だ、利下げに早期に転換するとの議論は時期尚早だ、などと、これまでと同様の発言を繰り返しました。
しかし市場は、議長発言のちょっとしたニュアンスを針小棒大に取り上げ「思ったよりハト派だ」などとこじつけて喜び騒いだり、「議長が何と言おうとすぐに利下げにするに決まっている」との暴論を唱えたりして、勝手に「早期利下げによるニューヨークダウ上昇」へと突っ走った感が強いです。
こうした暴走相場は、いずれ崖から落ちるのではないか、との不安をかえって募らせます。
また、金利が低下するのであれば、通常は成長株が買われやすいとされ、成長株を多く含むナスダック総合指数の方が上昇率が高くなるはずです。ところが実際には、ナスダック総合指数の騰落率がニューヨークダウを下回る日が目立っており、ニューヨークダウの先週の上昇率が2.42%であったのに対し、ナスダック総合指数は0.38%しか上昇していません。
これは、最近まで物色の柱であった magnificent seven(素晴らしい7銘柄)が変調を来たしていることと平仄が合っており、底流で米国株価の動きに悪い兆候が表れている、と解釈します。この点は、後の「盛りの花」で解説します。
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