▼第64号
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2023/12/8
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ブラック企業アナリスト 新田 龍のブラック事件簿
Vol.064
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インデックス
【なぜあの会社は人が集まり、辞めないのか(前編)】
【「就活」人気企業のなぜ?(マスコミ編)】
【告知】
【Q&A】
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【なぜあの会社は人が集まり、辞めないのか(前編)】
帝国データバンクが本年7月、全国の全業種2万7,768社を対象に実施した調査
によると、正社員が「不足」と感じている企業は51.4%を記録し、コロナ禍前の
水準へと完全に戻っている。さらに中小企業に限れば、日本商工会議所が9月末に
公表した調査結果によると、「人手が不足している」と回答した中小企業の割合は
68.0%とほぼ7割に達した。この割合は調査を開始した2015年以降で最高水準で
あり、その中でも約6割の企業は事業運営に支障が生じるレベルの「深刻」な状態
だと回答。少子化の影響で若者の絶対数自体も減少している状況でもあり、今後
人手不足感はさらに高まることはあっても、解消されることはおそらくないだろう。
(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2023年7月)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230804.pdf)
「お前の代わりなんていくらでもいるんだ!」などというパワハラがまかり通って
いた時代があったことなどまるで嘘のように、今や人を採用する困難度は極端に
上がっている。「大手ナビサイトに100万円以上費やして求人広告を出稿したのに、
内定どころか応募数自体ゼロだった…」といった経営者の嘆きを聞くことも珍しく
なく、これまでとは次元が違うレベルの人手不足に直面し、一体何をすればいい
のか途方に暮れている関係者も多いことだろう。
大手ナビサイトに求人広告を出せば母集団が自然に集まり、その中から上位の
優秀層を厳選して採用する、という旧来型の「待ちの採用」は通用しない時代と
なった。さらにはネットやSNSの発達により、企業が求人広告でPRする「アット
ホームな職場です!」「優しい先輩が懇切丁寧に指導!」「若い力で急成長中!」と
いった美辞麗句には「過度な編集」がなされている旨が知られるようにもなって
しまった。いくら耳に聞こえのよいアピールがなされていたとしても、それらは
決して労働環境や職場実態を正しく反映したものではないことが、既に見透かされて
いるのだ。
しかしこのような状況下においても、募集に対して多くの人が集まり、また高い
従業員定着率を誇る会社は確実に存在している。誰もが名前を知る大手企業や
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