「岸田内閣はどうして「ガッカリ」の大量生産を続けるのか?」
(前略)
マーケティングの理論の中に、「消費者の信頼を得るには何年もかかるが、失うのは一瞬」という言葉があります。また「消費者は爬虫類、瞬時の判断で食いつくし、駄目となったら見向きもしない」ということを言っていた専門家もありました。これは少々消費者をバカにした態度とも思えますが、いずれにしてもマーケティングとは心理戦だというのは否定できない事実です。
岸田政権がダメダメなのは、このことを全く理解していないからです。
例えば、給付すると言い、その後でその財源がないので増税すると言い、そこで差し引き全く恩恵がないと批判されると、では減税するという、一連の流れがいい例です。つまり納税者の心理を先取りすることができず、「かえって逆なでする」ようなことばかりをしているわけです。
岸田氏には「増税メガネ」というニックネームがつきました。それは「国民の嫌がる増税をやり、将来のために財政規律を確保する、冷酷な為政者」という意味ではありません。納税者の心理が分からずに迷走する、その無能ぶりに国民が信頼できないという厳しい「ノー」であるわけです。そして、悲しいことに、岸田氏はその「ノー」というメッセージの厳しさも理解できないし、感じられないようです。
その証拠に、その後も似たような「納税者の怒りに油を注ぐ」ことばかりをやっています。具体的には、給付すると言っておいて、その給付先に増税するとか、制限をつけるという方法です。
まず、児童手当を「高校生まで支給延長、所得制限撤廃」という政策を発表しました。それも「こども未来戦略方針」などという格好のいいネーミングをつけた上での発表です。このニュースを聞くと、もうすぐ子どもが高校生になる家庭は喜んだわけです。
ところが、これに対しては与党の税調が「高校生の扶養控除額を削減する」と言い出しています。つまり、高校生のいる家庭に対しては増税するというのです。何か給付をするのには財源が必要です。ですが、給付の対象そのものに対して、増税をして財源にしたのでは、何のための給付か分からなくなってしまいます。少なくとも、世論に歓迎されるように実施たはずの政策が大きくイメージダウンします。
勿論、高額所得の家庭のことを考えて、全体的な公平性を確保したいという理屈があるのは分かります。ですが、とにかく発表の方法が稚拙です。良いことがあると宣伝しておいて、その全く同じ対象者グループに実は「悪いこと」もあるといって「良いこと」からマイナスするというのは、マーケティングではタブーです。心理的に悪印象になるからです。
岸田政権のやっているのは、そんなことばかりです。例えば、第3子への児童手当は増額して「高校を卒業するまで3万円」などというのも裏がありました。そう言っておきながら、第1子が18歳になると、子どもでなく成人になるから、その場合は第3子は第2子になるので3万円はストップというのです。
3人子供のいる家庭は大学まで無償化するというのも同じです。第1子が大学を卒業して就職して扶養家族から外れると、その家庭は「3人子どもがいなくなる」ので、無償化はストップする、つまり2人分が一気に有償になるというのです。
とにかく、こんなことばかりです。(続く)
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