さて、今に始まったことでは無く、毎度毎度のことですが、先走っ
て「必要以上の利下げ」を織り込む市場は、FRBのインフレ退治
のための金融政策を「邪魔」している可能性があります。
目下の所、市場が先走って利下げを織り込み過ぎると、長期金利
の低下などを通じて「資金調達コスト」を低下させてしまう可能
性があるからです。
かように、長期金利の低下などで資金調達コストが低下すれば、
FRBは「経済成長を十分減速させてインフレとの闘いに終止符を
打つ」ことが難しくなるのです。
11月の雇用統計が想定外に堅調であったことは、こういった背
景が大きく影響しているかもしれないのです。
かくして、パウエルFRBは利下げに関して公の場で議論すること
には慎重になっています。
12月12~13日にはアメリカではFOMCが開催されます。
おそらく、今回のFOMCでも、FRB高官らが「公の場で、利下げ
時期について本格的に議論する」ことはなさそうです。
ソフトランディング期待派たちは、今回の12~13日のFOMC
で「利下げについて公に議論する」ことを大いに期待しています。
この期待は裏切られて、FOMC後に市場は再び乱高下を開始する
ことでしょう。
一方、12月18~19日には日本では日銀政策決定会合が開か
れます。
今年から来年にかけて、パウエルFRBはインフレ沈静化のために
景気を意図的に減速させてゆく過程にいます。その景気減速の過
程で、アメリカ経済のソフトランディングへの成功率を上げるた
めには、是非ともドル安トレンドが必要です。
その過程で、植田日銀はパウエルFRBから「ドル安円高トレンド」
を巻き起こすことを要請されているはずなのです。
今年の夏のジャクソンホールでは既にパウエルFRBと植田日銀の
間では「ドル安円高の取り決め」がなされているようです。
歴史的に、アメリカ経済が減速するときは、敗戦国の日本の日銀
がやや引き締め的な政策へと転換してドル安円高を引き受けるこ
とが両国の「恒例の取り決め」になっているのです。
目下の所、再びドル円相場では「ドル高円安」への巻き戻しが巻き
起きていますが、
来る12月18~19日の日銀政策決定会合は、再び植田日銀総
裁のタカ派的発言が飛び出す可能性が高いので、要注意です。
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