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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』第531号2023.10.3配信

クルマの心
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□     伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』            第531号 2023.10.3配信分 ●「皆さん、お元気ですか?」  現行軽自動車規格が改定されたのは1998年10月。今から25年前で 四半世紀が過ぎたことになる。このタイミングは印象的かつ重要だ。 世はまさに世紀末であり、その後現在に至る時の流れはここを分水 嶺としてそれ以前と明確に異とする。 すでに多くの日本人は忘れてしまったかもしれないが、この時代 は幾多の大企業が倒産あるいは瀕死の状態となるなど混乱を極めた。 銀行(北日本最大規模の拓銀=北海道拓殖銀行や長銀=日本長期信 用銀行/日本債券信用銀行)しかり証券会社(山一證券)しかり日産 自動車しかりである。 いずれも窮地に陥ったのは遡ること10年前。1988年秋に昭和天皇 の健康状態が突如浮上した。ご高齢であることを考えれば納得だっ たが、翌1989年年明け早々の7日には崩御が報じられ、元号が昭和 から平成に改められている。当時の様子を克明に記憶する人は限ら れるかもしれぬが、時代は『バブル』の真っ只中にあった。しかし 天皇崩御のインパクトは、この国が今なお天皇制を採ることを再認 識させた。 崩御の翌日から国中が喪に服することになり、大規模な祝い事は 自粛の対象に。私の記憶はあてにならないほど薄れているが、当時 TVからは無駄に明るいCMは消えたはずである。少なくとも前年 にデビューした日産セフィーロのCFは語り種になっている。  同車のナビシートに収まった井上陽水が、P/Wを下ろしながら 「皆さん、お元気ですか?」と明るく言い放ったアレだ。日々刻々 と報じられる天皇の容態に、”お元気ですか?”のセリフは馴染ま ないということで、ある時の映像から陽水の生の肉声は消された。 当初明るく問いかけるのを聞いた耳に、ここだけのミュートは異様 だった。  1989年は日本車にとって約20年ぶりの豊作年として記憶される。 『ヴィンテージイヤー』として振り返られた背景には、ハイエンド のトヨタセルシオ(LEXUS LS400)、日産インフィニティQ45を筆頭 に幾多の秀作が並んだ。スカイライン(R32)、フェアレディZ(Z32)、 180SXといった日産901計画の旗頭として登場した語り種に加えて、 トヨタでは2代目MR-2、マツダのアイコンユーノス・ロードスター ……翌年以降も勢いは留まることを知らずホンダ(アキュラ)NSX、 三菱GTO、トヨタスープラ、マツダRX-7(FD3S)と綺羅星の如く華の あるクルマが続出した。 ●「いいモノを安く」から「良品はできるかぎり高く」へ  何故このような事態が訪れたのか?答を探るには時の流れを逆転

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  • 価値観が大きく変化しようとしている今、なすべきことは何か? このまぐまぐ!のメルマガ『クルマの心(しん)』を始めて多くのことに気づかされました。ずっとフリーランスでやって来て40年、還暦を迎えたこの段階でまだまだ学ぶことが多いですね。どうしたら自動車の明るい未来を築けるのだろうか? 悩みは尽きません。新たなCar Critic:自動車評論家のスタイルを模索しようと思っています。よろしくお付き合い下さい。
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