第293号(2023年12月15日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
寒い日があるかと思えば、季節外れの温かい日もある複雑な天候ですが、
皆さん、お変わりありませんか。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
先週から【待遇や条件を改善するための交渉術】についてお話ししています。
【待遇についての交渉】と聞くと、恐らく真っ先に想像されるのが
【給与(salary)についての交渉】かと思います。
今いる会社・職場で昇給を求めたり、その他の待遇改善を求めたりする場合に加え、
転職のためのインタビューにおける条件提示といったように、いろいろな場面が想像できるかと思います。
先週号ではスタートとして
【交渉における客観的な基準(Objective Standard)を設定することの重要性】についてお話ししました。
今週号からはより具体的にお話を進めます。
今週号では【就職や転職の際に応募者が犯しがちなミスを防ぐための方法】についてお話しします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週も国際情勢は流動的に動いています。
まずは気候変動COP28の話題です。
紆余曲折の交渉の末、12月13日に無事合意が出来上がりました。
『およそ10年間で化石燃料からの脱却を加速させる』ことなどを盛り込んだ成果文書が採択され、
再生可能エネルギーを2030年までに現状の3倍に拡大することも盛り込まれました。
本交渉の裏側では、原子力発電のポートフォリオを3倍にするという、環境とエネルギー安全保障を兼ねたcoalitionが出来、
日本もそのメンバーに名を連ねていますし、
私が過去2―3年ほどお手伝いしてきた化石燃料セクターからのメタン排出削減の取り組みで、
すでに100か国以上が賛同しているGlobal Methane Pledgeも会合を開き、具体的な動きを加速させています。
BBCなどの国際ニュースでは、Historic Climate Dealという高い評価が付けられた今回の合意(ドバイコンセンサス)は、
環境派の方たちにも、化石燃料に依存し続けるグループにも、移行経済国にとっても“負けのない”結果になったと思われます。
今後の課題は、コロンビアの環境大臣もBBCのインタビューで指摘していたように
『この合意をいかに具体的に実行に移すか』ということでしょう。
途上国的には、化石燃料からの漸次的な移行をサポートするための資金と技術が必要でしょうし、
先進国としては自国の現実に沿った移行策が練られなくてはなりません。
交渉において大事なのは“合意を得る”ことよりも“いかに出来上がった合意を具体的に実施していくかという
プロセスの確認”ですから、今後、各国のサイン業界と政府がどのように実行していくのか注目です。
2つ目は、鮮明になりだした【イスラエルとアメリカの国際社会における孤立】です。
12月12日に国連では緊急総会会合が開催され、153か国がイスラエル・ハマス戦闘の即時停戦を求める決議が採択され、
日本も賛成に回りましたが、イスラエルと米国は反対票を投じ、
国際社会における孤立が深まっている姿が浮き彫りになりました。
採択に際し、イスラエルの国連大使が
『この決議に賛成することは、テロリストにフリーチケットを与えるもの』と非難しましたが、
その声にまともに耳を傾ける国はほとんどなかったと言えます。
アメリカ政府も、一応、反対の姿勢を示したものの、
これまでのように無条件でイスラエルを支持するというわけではなくなってきているようで、
それはバイデン大統領の『無差別攻撃を加えるイスラエルは国際社会の支持を失いつつある』という苦言と、
ネタニエフ首相および閣僚の交代をプッシュする姿勢にも現れているのではないかと思われます。
3つ目は【孤立が際立つゼレンスキー大統領とウクライナ】についてです。
ゼレンスキー大統領は、アルゼンチンの大統領就任式に出席し、
ウクライナ支援に反対するオルバン首相(ハンガリー)と立ち話をし、その後、ワシントンDCを訪れて、
大統領と議会関係者に対して対ウクライナ支援の継続と拡大を訴えかけています。
そして聞くところによると、そのままブリュッセルに向かい、
ウクライナ支援に後ろ向きになりつつある欧州各国に継続支援を訴える予定とのこと。
対ロシア反転攻勢が思うように進まず、かつ国際社会の目はガザの惨劇と悲劇に集中していることから、
欧米諸国とその仲間たちはウクライナ問題への関心を薄めているように見えます。
そしてウクライナ国内でも、ついにゼレンスキー大統領とその姿勢に対する非難の声が上がりだし、
そう遠くないうちにクーデーターにでも発展しそうな気配が漂っています。
様々な情報を分析すると、ウクライナ国民の士気は下がってはいないようですが、
ゼレンスキー大統領への評価は下がり続けているようです。
ウクライナが倒れる、またはロシアに有利な条件で停戦することは、つまりロシアの勝利を意味し、
それはまた大きなパワーバランスの変化をもたらします。
【2―国際情勢の裏側】のコーナーでは“孤立”をキーワードにお話しします。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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