こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。
本日は号外です。
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1.国民年金の強制被保険者期間が65歳まで延長すると年金額は約1割引き上がる。
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国民年金って20歳から60歳前月までは強制的に加入してる状態であります。
では60歳以上になるとどうなるかというと、国民年金に加入する義務がなくなり、ようやく保険料支払いの負担から解放されます。
自営業や自由業、学生、主婦などの国民年金第1号被保険者の人は毎月16,520円(令和5年度保険料)も支払うので、ようやく負担しなくて良くなる事で少し安心されるようです。
しかし、60歳から65歳まで保険料納付期間を延長して行くという法改正が検討されておりますので、60歳から65歳までの取り扱いが近いうちに変わるかもしれません。
え?ようやく60歳から年金保険料払わなくて良くなるのに、さらに払わせようと改正されようとしているの?許せない!という声があったりします。
国の年金財源が足りないからさらに払ってもらうようにするんだろう!と言われたりしますが、本質はそこではありません。
もちろん延長によって年金財源に好影響は与えるというメリットがありますが、いちばんの目的は今の若い人の将来の年金を引き上げる事です。
保険料納付期間が伸びれば、基礎年金の今の満額の795,000円(月額66250円)より1割ほど増加するので、将来の人が老齢になった時の年金が増加し、貧困抑制に繋がるのです。
795,000円÷40年×45年=894,375円(月額74,531円)となって、いつもの満額より1.125倍になるという事になります。
ところで、過去の年金額において基礎年金の満額は長い事70万円台と変わりませんでした。
なんで基礎年金の満額はいつまでも70万円台なんだろうと疑問になるところではありますが、この基準額は平成16年の780,900円が元になっています。
その基準額を元に毎年度の賃金変動率や物価変動率を使って年金額を変動させています。
令和5年度老齢基礎年金満額は795,000円(67歳年度までの人)ですが、これは平成16年満額の780,900円に(令和4年度改定率0.996×令和5年度賃金変動率1.022=1.018)をかけて、794,956円≒795,000円(100円未満四捨五入)にしたものです。
このように毎年度賃金変動率や物価変動率によって年金額は変化します。
なお、68歳到達年度以降の人は物価変動率を使うので基礎年金満額は792600円になっています。
ちなみに基礎年金の満額の基準は昭和60年の年金大改正時に60万円(月額5万円。共通経費を除いた場合の額)で決められ、それ以降の物価や賃金の伸びに合わせて平成16年までの19年間の間に780900円まで上がってきました。
で、平成16年に一旦金額の基準を780,900円という事として、これを基準にまた経済変動にスライドさせていこうという事になりました。
昭和60年から平成16年までの間に約18万円上がったのに、平成16年から令和5年現在までの20年で2万円ほどしか上がってませんね。
それは物価も賃金も上がらなかったからです。
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2.今の若い人が将来に年金受給者となった時の貧困を防がなければならない。
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そのような経済変動により年金額は引き上がったり、もしくは下がったりしますが、基礎年金額を上げるならばその元の年金額である「780,900円」を引き上げてやれば簡単じゃない?と思いますよね。
いつまでもそんな国民年金の基礎年金が78万円程度の年額じゃ月65000円程度にしかならないし(厚生年金加入の人は過去の給与で異なり、この基礎年金に上乗せ給付)。
でもその基準額780,900円は変更せずにきました。
どうして基礎年金の元の基準額はそのまま手を付けないのでしょうか。
それは基礎年金には2分の1の国庫負担(つまり税金)が投入されており、もしその基準額を引き上げるとすればそれはすなわち税金の問題になるからです。
なお、年金というのは基礎年金の国庫負担2分の1の部分(約12兆円)以外は社会保険料で支払っているので、国の一般会計には影響を及ぼしません。
社会保険料の変動は国の予算とは切り離して考える必要があります。
国の財源に影響を与えるのは基礎年金の国庫負担分のところです。
よって、基礎年金の基準を上げる事は税金の調達の問題も出てくるので、そうなると増税の問題に繋がってくるので基礎年金の基準額を引き上げる事はなかなかできない事だったのです。
しかし、今、その基礎年金の基準額を保険料納付期間の延長により、上限突破しようとしています。
どうして税金調達という頭の痛い問題が増えるのに、基礎年金の基準額を増加させようとしているのか。
これは他の改正と考える必要があるのですが、今の年金を取り巻く中で「厚生年金への加入を促進」させたり、「マクロ経済スライドにより今の年金受給者の年金給付を抑制」したり、そして「国民年金保険料納付義務期間を20歳から60歳までではなく65歳まで延長しようとしている」のは、将来の若い人の年金を高い水準に持っていくためです。
バブル崩壊以来、非正規雇用者が爆発的に増え(昭和60年は650万にほどだった非正規雇用者が平成20年あたりから2000万人超え)、会社に雇用されてるのに厚生年金にも加入させられずに働き、さらに給料も安いから国民年金保険料を未納にしたり免除にしたりせざるを得ないというような悪影響が出ていました。
昭和60年から解禁された労働者派遣法も、平成11年に原則自由化され、平成16年には派遣期間が1年から3年に延長されてさらに製造業などにも解禁されました。
これにより労働環境の劣悪な日雇い派遣(平成24年に日雇い派遣は原則禁止)とか、ワーキングプアの問題もクローズアップされるようになりました。
その後、平成20年に起こったリーマンショックの時に大量の派遣社員は契約を打ち切られ、さらに住処も追い出されるような目にあいました。
当時、日比谷公園での年越し派遣村でボランティアの人達が、派遣切りに合った人たちへの支援を行っていたのは記憶にあるのではないでしょうか。
このようにバブル崩壊以降、職が不安定な非正規雇用者が急激に増加し、また派遣社員が増加した事で確かに会社側としてはコスト削減には便利になったかもしれません。
しかしながら、使い捨てのように扱われる労働者の生活そして将来への展望が拓けないような社会になっていきました。
生産性の低い会社にとっては生産性を上げようとせずにコストカットに集中するのでしょうが、生産性のない会社のために労働者が使い捨てのようにされる事は経済の成長にはマイナスになります。
一つ一つの会社にとってはコスト削減により生き延びれるでしょうが、社会全体としてはマイナスになります。
これは経済の世界ではよく合成の誤謬と言われたりするものですが、労働者が安く使い捨てられる世の中は社会全体が悪くなります。
なぜかというと、安く使い捨てられる労働者は当然の事ながらモノを買う力が弱いです。
だから商品を買えません。
そうすると会社は儲からないから、商品の値段を引き下げるしかありません。
という事はその会社の社員の給料も下がります。
給料が下がるから、社員もモノが買えません。
こういう事が続いたために長らく日本はデフレ状態により停滞していました。
収入の少ない、今を生きる事に精一杯の人が国民年金年金保険料など支払えるはずもなく、そうすると将来に老齢になった時に貧困に陥る危険性があります。
なお、厚生年金加入者は給与から強制天引きなので未納や免除の問題は生じない。
会社が生き延びるために労働者を安く使い倒し、コストカットした事が、今の若い人の将来の貧困に繋がります。
将来、貧困者が急増するという事はそれは社会の衰退を招きます。
貧困になるともちろん先ほどと同じ事で、モノが買えないからですね。
会社としても利益が少なくなって困る事になります。
将来の貧困者が溢れれば、最低限どの生活すらままならないなら生活保護受給者も当然増えるでしょう。
今の生産性のない会社を延命させるために、将来の人たちの税金で貧困者に生活保護を支払うというツケが回ってきます。
現物給付を除いた生活費などの生活保護費は全社会保障費の1%程度(約1兆5000万程度)に過ぎませんが、今の非正規社員の人たちが老齢になった時は17~19兆円ほどまで増加が見込まれています。
話を戻しますが、国民年金保険料を支払う事すらままならない人が非正規雇用者の中に多く存在するという事は、将来も貧困に苦しむという事になります(非正規雇用者2000万人のうち1000万人ほどが厚生年金に加入できていない)。
現役時代も格差に苦しみ、年金生活者になっても年金格差に苦しむ事になります。
よって、そのような非正規雇用者の年金を引き上げる事で貧困を防ぐ目的として、今急速に進められているのが厚生年金加入への促進です。
厚生年金へ加入できれば、基礎年金はキチンと支払ったものとなり、さらにその上に給料に比例した年金である老齢厚生年金を受け取る事ができます。
また、厚生年金は厚生年金保険料の半分を会社側も負担しなければならないので(健康保険なども)、個人の社会保険料負担としては給料が低い層は負担が下がる事にも繋がります。
将来の年金額が上がり、そうすると将来の貧困を大きく改善させる事ができるわけです。
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3.これらは将来の人の年金水準を増加させる。
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そして、
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