ドクター畑地の診察室221.2023.12.17.
現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。
世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信!
https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/
三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる
松阪市民病院院長
診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当
https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php
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RSウイルスワクチン
RSウイルス感染症というと、従来は子供の感染症と言うイメージでした。しかしながら、最近では成人も罹患し、特に60歳以上の高齢者や心臓、肺に基礎疾患がある高齢者が罹患すると、重症化することが知られてきました。
まずRSウィルスの診断方法ですが、年少時では簡便なインフルエンザ検査等と同じ抗原キットがよく知られています。簡便であり、年少児では非常に有効な方法ですが、成人になると検出率が低くなることが知られています。したがって、成人において診断するためには、COVID-19などと同じPCR検査が必要となってきます。現在では、同時に、数種類のウィルスや呼吸器感染症を測定することができる、フィルムアレイと言われる検査が用いられることになるんじゃないでしょうか。特に成人においては、抗原検査の有用性は低く、結果は慎重に解釈する必要があります。
RSウィルスの伝染しやすさはどの程度か、基本再生数(どれくらいの人にうつす可能性があるか) 3と言われてますので、これはインフルエンザA型とほぼ同じと考えていいと思います。症状についてですが、ほぼ他のウィルス感染と同じで特徴的なものはありません。特に高齢者、心臓や肺に基礎疾患がある患者さんでは、A型インフルエンザよりやや重症化しやすく、症状も長引きやすいと言われています。今までははっきりしなかったわけですが、よく調べてみると、ほぼA型インフルエンザに罹患する患者と同数の患者さんがいると言われており、昔は冬季に多いと考えられていましたが、現在では季節を問わず罹患する病気と認識されています。
日本では、おおよそ1年に60,000人から70,000人程度の高齢者が入院し、4000人程度がお亡くなりになると言われています。入院した高齢者の内、15人に1人程度がなくなることを考えると、かなり重症化しやすいと言えると思います。また、回復もインフルエンザに比べて遅く、元気になるまで時間がかかると言われています。
現在、この高齢者RSウィルスに対して特異的な治療方法はなく、対処療法が主体となります。したがって、そもそも罹患することを防ぐことが大切であり、RSウィルスのワクチンの上市が期待されていました。そんな中、日本においてもRSウィルスのワクチンが承認され、正確な時期は分かりませんが、来年度より60歳以上の高齢者において接種できるようになりそうです。
このRSウィルスのワクチンは、世界的なCOPDの治療指針である「GOLD」において、インフルエンザやCOVID-19などのワクチンを接種する以上に推奨されており、非常に重要な位置づけとなっております。
既にアメリカなどでは認可されており、接種されている不活化ワクチンです。現時点では一生に1度接種することになると思いますが、データーが出揃ってきた際にどのように回数が変化してくるかは気をつけておく必要があると思います。
ワクチン接種に伴う副作用は特異的なものはなく、一般的なものですが、医師の指示に従い、充分注意して接種する必要があると思います。
松阪市民病院においては、市販された後は対象となるような基礎疾患がある患者さんや高齢者には積極的に接種を勧めていこうと考えております。
さて、このメルマガが届く頃には、私は何キロ地点を走っているでしょうか。今週日曜日、松阪マラソンです。少しでも早いタイムを目指して頑張って走りたいと思います。よい週末を。
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ドクター畑地の診察室221.2023.12.17号
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次号は2023.12.24.です。
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畑地 治
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松阪市民病院院長
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診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当
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◆2023年11月
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2023/11/26 三重パチ
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