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日本、半導体で世界トップへ潜在力 台湾が水資源で限界「国内で拡張へ」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/12/18
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台湾1・3位企業が日本へ 西側技術が日本へ結集する TSMC日本で4工場計画 半導体が賃金引上げのテコ 日本半導体は1990年代後半、世界の頂点に立っていたが日米貿易摩擦の余波で米国と妥協した。それが転落への契機となり、現在の世界シェアは10%見当と低迷している。だが、半導体の製造装置と素材では世界で1~2位のシェアを持ち続けている。この潜在力が、日本半導体を再び世界の檜舞台へと押し上げようとしている。まさに、「待てば海路の日和あり」だ。 これには、中国の地政学リスクの増大が上げられる。米国が、日本の半導体へ依存せざるを得なくなった事情が大きく作用している。日本半導体は、米国の差し金で衰退を余儀なくさせられたが、再び米国支援で復活する幸運な巡り合わせである。日本側は、この間の経緯に対して複雑な感情もあろうが、世界の流れに合わせて柔軟に対応することだ。 台湾1・3位企業が日本へ 日本半導体へ注目しているのは米国だけでない。台湾の半導体企業が、日本への進出に積極的である。非メモリー半導体で世界1位のTSMC(台湾積体電路製造)は、熊本県で工場を建設中である。竣工時期が、当初予定を大幅に繰り上がって24年2月になる。世界最速の半導体工場建設と指摘されている。TSMCは、報道によれば第2・第3・第4工場も九州で建設する。 台湾半導体3位のメモリー半導体製造のPSMC(力晶積成電子製造)も、宮城県で工場建設計画を発表した。PSMCは、自動車用半導体を主体とする。台湾半導体が、相次いで日本進出を果すのは、台湾が既に立地上で半導体工場増設余地のない結果である。次のような事情があるのだ。 半導体生産には、膨大な電力エネルギーと水が必要である。だが、台湾はすでに限界に達している。これ以上、台湾で事業を拡大し続けるのは不可能で、二酸化炭素排出量を減らすという世界的な取り組みにも反する事態になっている。こういう立地上の制約により、半導体工場の増設は不可能とみられる。となれば、制約状況の少ない日本が、最適な半導体生産基地になる。TSMCの熊本工場は、阿蘇山の麓で水が豊富である。PSMCの宮城工場も水運に恵まれている。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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