隔世の感、とは目まぐるしく変化する世の中を表現した言葉だ。暮れ行く2023年、激しく動いた国際情勢の1年を振り返ってもピタリとくる言葉かもしれない。
何より、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を手放しで歓迎してきたアメリカの変身は象徴的だ。いまやゼレンスキーは、深まる冬のなか前線でロシア軍と向き合う兵士たちよりも厳しい寒風を感じているかもしれない。
この冬、多くのメディアが「冷遇」と報じたアメリカ訪問を終えたゼレンスキーは、ヨーロッパに戻っても頭上の曇天を振り払うことはできなかった。
12月14日から開催された欧州連合(EU)首脳会議では、ウクライナとモルドバの加盟交渉が開始されることが決まったものの、その直後にハンガリーのオルバン・ビクトル首相がEUの大規模なウクライナ支援策に拒否権を行使したからだ。EUの加盟交渉で進展があったものの、支援は暗礁に乗り上げた。英『フィナンシャルタイム』はこれを「(EUが)片手を差し伸べて、もう一つの手を引っ込めた」と表現した。
アメリカのウクライナ「離れ」は、10月にイスラム武装組織「ハマス」による大規模な越境テロが起きて以降、加速度的に進行したように見える。
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