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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」
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第651号(2023/12/17) 米国株は危険な楽観に邁進、円高が日本株を抑制/焦点は円相場か
この週刊「世界経済・市場花だより」は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット馬渕治好が、わかりやすく解説します。
※ 自主開催セミナーの予定です(カッコ内は、現時点でのお申し込み数/定員、です)。残席は、10を下回った場合に表記します。
12/23(土)名古屋(6/25)
1/7(日)浜松町(5/30)
1/27(土)高岡(1/25)
2/3(土)大阪(2/18)
2/10(土)浅草(12/20)(残席:8)
2/17(土)福岡(2/20)
2/24(土)ウェブ(5/150)
セミナーのスケジュールは、
http://bd-fleurettes.eco.coocan.jp/sub3.html
のページの下の方にあります。詳細やお申し込みは、それぞれのリンク先をご覧ください。
上記ページには、自主開催以外のセミナーの予定も載っています。
☆過ぎし花~先週(12/11~12/15)の世界経済・市場を振り返って
<米国株価は金利低下観測と景気堅調期待のいいところ取りに邁進、日本株は円高が上値抑制>
(まとめ)
先週は、米国でFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、FOMC参加メンバーによる2024年の政策金利見通しが下方修正されたため、既にそれ以上の利下げを見込んでいた市場は、さらに一段の金利低下を期待しました。一方で、公表された11月の小売売上高が市場予想に反して前月比で増加したため、景気が堅調だとの見解も広がりました。こうした金利低下期待と景気堅調観測が同時にもてはやされ、米国の主要な株価指数は騰勢を強めました。
ただ、長い流れでは、連銀が大幅に利下げするのであれば、それはそうした大幅な緩和を行なわなければいけないほど米経済が悪化した場合なので、本来は金利低下期待と景気堅調観測は共存できません。その点で、足元の米国株価は楽観的過ぎると懸念します。
金利低下期待を受けて、米ドルはほぼ全面的に下落し、米ドル安・円高は日本株の重石となりました。
(詳細)
先週の材料は、主に米国発でした。
まず、FOMCが12/12(火)~12/13(水)に開催されました。今回は金融政策の変更はありませんでした。
ただし、SEP(Summary of Economic Projections、景気、物価、金利等のFOMC参加メンバーによる見通し)では、2024年中の政策金利が、現状の5.25~5.5%から4.5~4.75%に引き下げられる、との見通しが示されました(報道によっては、4.5~4.75%の間をとって、「4.6%」と表記しているものも多いです)。これは0.25%幅3回分の利下げに相当します。前回のSEPでは、0.25%幅2回分の利下げ見通しでしたので、利下げの予想回数が増えたことになります。
またパウエル議長は、FOMC後の記者会見で、「いつ金融引き締めを縮小するかを話し合った」と語り、FOMCにおいて利下げの時期を議論したと表明したことが、一段と金利先安観を強めました。
この短期金利低下観測を受けて、米長期金利も低下しました。10年国債利回りは先々週末(12/8、金)は4.23%でしたが、先週末(12/15、金)は3.91%と4%割れで引けています。
そうした米国の金利低下観測が、米ドルを多くの主要通貨に対し押し下げました。米ドル円相場でみると、12/14(木)には一時1ドル141割れの場面がありました。
また別の材料としては、12/14(木)に発表された11月分の米小売売上高が挙げられます。事前の市場予想では11月分の前月比は0.1%減が見込まれていましたが、実際には0.3%増と堅調でした(小売売上や個人消費をどうみるかは、後の「盛りの花」で解説します)。
こうして米国株式市場では、「金利は下がるし景気は強い」と都合の良いいいところ取りとなり、たとえばニューヨークダウは、7営業日連続かつ7週連続の上昇(筆者は、「7か月連続の上昇でもあれば、7が3つ揃ってフィーバーするのにね」というギャグを語っています)となり、史上最高値を更新しました。
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