【沖縄へ…】
クリスマスが終わりホッとしたのも束の間、その年はかなり大雪が降っていた。
みつおはいつもよりも早く出勤し、雪かきに追われていた。
沖縄には雪は降らないので、雪が積もっているだけで感動していたが、建前上は雪が降ってウンザリしているフリをしていたのだった。
公道は除雪車が走るので大丈夫だったが、敷地内から公道に出るまでの約10mくらいの距離なので大したことはなかったが、雪が固まって氷になってしまうと最悪なので、バイクが通れる幅だけはきっちりと雪かきをしていた。
しかし、宅配で出かけると雪かきをしていない路地裏もあって危険だった。
前回それでみつおもスリップをして危うい状況になった事があるので十分に注意するようにデリバリーのバイト生に毎日のように伝えていた。
クリスマスが終わるとサンタの暖かいジャンパーは着れないので、みんな寒そうだった。
しかし、店の中はピザを焼いているので暖かい。
ある時、急にデリの子が休んだため、店が回らなくなり、緊急でみつおがデリに出たのだが、慌てて出たためにジャンパーを着るのを忘れてしまい、気付いたのは半分くらい来た時だったので諦めて寒い中バイクでデリをやった事があったが、帰りはかなり寒かったのを覚えている。
年も明けて落ち着いてきた1月の半ばごろだった。みつおは何か知らないが虚しい気分になったのだった。
借金は、全て返しちゃんと正社員で働くこともでき、結婚相手と同居もしているので幸せなはずだった。
しかし、何か胸にポッカリと穴が空いているきぶんだった。
借金を返していた時は必死だったので、悩んでいる暇はなかったが、全ての問題が解決してしまうと、追っかけるものがないので何か物足りないのである。
みつおはそこから抜け出すために、ある事を思いついた。
「そうだ、営業しよう!」
トップ営業マンだったみつおは、営業をして店の売り上げをあげようと思ったのである。
他の店長は誰もやっているはずがなかった。
新聞のチラシ折り込みとデリバリーを使ったポスティングが唯一の売り上げアップの戦略だったからだ。
どの時期に、どの地域に蒔くのが一番効果的なのかを常に研究していた。
前回の店長会議でも、急に売り上げが上がった店長のアドバイスをもらったことがあった。
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