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韓国「一人当たり名目GDP」、31年に日本を抜く最新予測 これだけの「落とし穴」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/12/21
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日本・韓国・台湾が横並び 韓国経済が抱える二大宿痾 低い自己金融力が成長阻む 日本は労働力不足で覚醒へ 日本経済研究センター(日経センター)が12月18日、個人の豊かさを示す指標である日本の「1人当たり名目GDP」が2031年に韓国、33年に台湾に抜かれるとの試算を発表した。22年末の予測時からは10年も後ろにずれる形だ。 日本としては、いささか気になる試算である。ただ、日本が韓台両国に抜かれるとする時期が、昨年の試算から10年もずらされることに安堵している向きもあろう。この試算は、過去のデータの延長であることに気づくべきである。この種の試算は、過去のデータが基本になる。日本経済は現在、大きな構造変動が起こっている。失われた過去30年のデータを基礎に、日本経済の今後を予測するのは余りにも不適当であろう。当の韓国には喜ぶべきニュースだが、主要紙が取り上げていないのだ。無視された形である。 日経センターは、これまで中国がGDPで米国を抜き去るという試算を発表し続けてきた。この試算に対して、私は一貫して異議を唱えてきた。それは、中国の合計特殊出生率急低下と不動産バブル崩壊という二つの構造要因を重視したからだ。出生率低下という人口統計は、経済予測において不可欠である。米国のドラッカー博士は、この事実を最も強く指摘した学者である。不動産バブル崩壊も、日本経済をつぶさに調べてきた立場から言えば、中国に起こって当然であり常識であろう。 中国GDPが、米国を抜くという過去の日経センター試算は、もはや現実に起こりうるとは誰も想像できない事態である。同様に、韓国と台湾の名目一人当たりGDPが、日本を抜くという試算に対しても、多くの検証を加えるべきである。結論を先取りすれば、韓国と台湾が、日本を抜くことはない。その条件は、日本経済の改革がスタートしていることにある。もはや、後ずさりができない改革であり「賽は投げられた」からだ。 日本・韓国・台湾が横並び 先ず、日経センターの試算結果をみておきたい。 予測では、労働生産性、平均労働時間、就業率、為替要因から説明している。22年12月に公表した予測では、一人当たり名目GDPが22年に日台、23年に日韓でそれぞれ逆転するとしていた。だが、1年後の今回の予測では、その逆転時期が10年後れると訂正した。2031年に韓国、2033年に台湾に抜かれるというのだ。主因は、日本の名目GDPの大幅上振れにある。韓台は、半導体市況の調整によって名目GDPが下振れする影響としている。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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