今「常に」と書きました。作品作りにおいて「同時代性」がきわめて重要
であること言うまでもないことで、ぼくもそのように考えていますが、一
方で「同時代性」のうちにも常に普遍性がある、あるいは「同時代性」を
通じて普遍へと通じる道がある、ということもあります。と書くと「普遍
性」という一種の抽象概念が持ち出されることによって、ガザ侵攻やウク
ライナ戦争など、まさに現在進行系の、リアルで、この瞬間も無数の悲惨
が生まれつつある、そういう事態が相対化されたり矮小化されたりするよ
うに感じられるかもしれませんが、むしろその逆だとぼくは思います。人
類史を通じて無数に繰り返されてきた悲惨と、現在進行系の悲惨が一直線
に繋がっていることに思いを馳せることは、そういう悲惨に際して何を考
え、どのように対応すべきかについて、さまざまな手がかりやヒントを与
えてくれるし、悲惨をめぐる思考に深度を与えてくれるものだからです。
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