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248回 テレビはなんのためにある?

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
いつものようにモーニングショーを見ていると、今、年金生活者の生活が大変だという。 円安で物価が高くなるだけでなく、電気代やガス代なども大幅に上がり、食料品も上がっているのだから、当たり前の話だろう。 月6万円や7万円の年金で3~4万円の家賃を払い、貯金もないという。 どうやって生活をしているのかと思うが、その工夫ぶりや奮闘ぶりが描かれていた。 電気を切って生活している人までいる。 まさに、少なくとも先進国において、文化的な生活と言えないレベルのものだ。 日本国憲法第25条 第一項には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある。 実は、そのために、日本国民には生活保護を受ける権利がある。 年金を受けていても、その市区町村の生活保護費に満たない収入しかない場合は、生活保護を受ける権利がある。 もちろん、それには条件がある。 資産がないこと。稼働能力がないこと。扶養義務者からの援助が期待できないことが主なものだ。(事実上、全部と言っていい) さて、この番組に取りあげられていた月に6万円や7万円(私の記憶では4万円という人もいた)の年金生活者は、みんなこの条件を満たすようだった。 もちろん、子どもがいる人、兄弟がいる人もいたのかもしれないが、厚労省のHPでも、「扶養義務者の扶養は保護に優先しますが、例えば、同居していない親族に相談してからでないと申請できない、ということはありません」と明記されている。 昔ほどは、子どもや兄弟に払わせろという指導はなされていないようだ。 現実に子どもが親の扶養のために、その子供(親から見て孫)の大学進学をあきらめるというのでは、今、岸田内閣が進めている、教育費負担を減らすことで少子化対策とするというものと背反することになってしまう。 逆に言えば、今が生活保護申請の狙い時かもしれない。 実際、年金の少なさを生活保護で埋め合わせることができることが知れたら、もう少し、中高年の世代も貯金圧力から解放されるだろうし、高齢者の消費も増える可能性がある。実際、生活保護費というのは、貯金に回すことができない立てつけになっているので、出しただけ消費が増えるという非常に有効な景気刺激策だ。 ただ、問題は、その番組のコメンテーター(その中には以前五流と問題視したアナウンサー上がりの弁護士も入っていた)は、誰も生活保護を受ければいいのにという視聴者に役立ち、あるいは、番組に取りあげられていた生活困窮者を救うようなコメントをしなかったことだ。 知らないわけがない気がするが、あの面子なら本当に知らないのかもしれない。 ただ、もう一つ考えられるのは、財務省からの圧力だ。 生活保護受給者が増えるかわからないし、国民年金を払わない人が増える可能性もある。財務省にとっては非常に困る話なので、この手の情報はテレビで流さないように圧力がかかっている可能性がある。 実際には、かえって消費を刺激する可能性があるが、そんなことは財務省は知ったことではないのだろう。 いずれにせよ、テレビ局というのは、ジャニーズに忖度してまともな報道をしないだけでなく、お上の言いなりになっている報道機関だということだ。 いずれにせよ、生活困窮者に同情しているふりをして全然救いの手を差し伸べない残酷人間しかテレビのコメンテーターにはなれないということだろう。 実際、生活保護で月数万円の収入増になるだけでなく、医療費や公共交通費、介護保険料もタダになる。 月に一度くらいおいしいものを食べたり、服がかえたり、習い事ができたりする。 これが、「健康で文化的な最低限度の生活」というものだろう。 それを踏みにじる、テレビの偽善者コメンテーターが私には許せない。 いずれにせよ、テレビはなんのためにあるのかを考えさせられる内容だった。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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