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嬉しいメッセージ

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室222.2023.12.24. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 嬉しいメッセージ  12/22朝、私の元に1通のメッセージが届きました。 (Dear Hataji Sense, I hope this message finds you and your family well.Finally we arrived in the United States. We spent two years in the Abu Dhabi, United Arab Emirates. We are currently in the Manchester city, New Hampshire State. Eventhough, we couldn't come to Japan, I and my family will never forget and will always remember your kindness, and support to safe me and my family in the first days of government collapse in Afghanistan on the August 15, 2021. We all wish you a long and prosperous life together with your family and friends. Best regards) (畑地先生へ、 このメッセージが、あなたとあなたのご家族に届くことを願っています。ついに私たちはアメリカに到着しました。アラブ首長国連邦のアブダビで2年間過ごしました。現在はニューハンプシャー州のマンチェスター市にいます。日本には来れませんでしたが、2021年8月15日にアフガニスタンで政府が崩壊した最初の日に、私と私の家族を守ってくれたあなたの親切と支援を、私と私の家族は決して忘れることはありません。ご家族、ご友人とともに、末永くお幸せに。)  アフガニスタンより日本に留学していたこの友人は、母国カブール大学で医師として教鞭をとっていました。奥さんは裁判官でした。2021年、アフガン前政府がタリバンにより崩壊した時、彼は自分の身に危害が及ぶことを察知し、国外脱出を考えました。まず考えたのは、留学先であった三重大学がある日本です。  アメリカや、ヨーロッパ諸国が自国に関係があるアフガン人、自国留学経験があるアフガニスタン人に対しては救いの手を差し伸べる中、日本政府は何もできませんでした。しかしながら、当時安倍政権であった日本政府は今までと一味違いました。何と自衛隊輸送機を派遣する決断をした訳です。自衛隊輸送機を3機アフガニスタンに派遣して、日本国民、日本大使館に勤めるアフガニスタン人とその家族を救出することにしたのです。  私は彼とその家族を何とか救出してあげて欲しいと思い、外務省にダメ元で交渉してみましたが、良い返事は得られませんでした。まず、日本に来た時の身元引受人と住居の問題です。幸い、松阪市が理解を示してくれたおかげで、私が身元引受人になり、松阪市民病院に共同研究者として来ていただくことにした訳です。ただ、自衛隊輸送機のキャパシティには限界があり、自衛隊機搭乗は難しい様子でした。しかしながら、東京外国語大学教授であったI先生(東チモールの暫定統治機構に携わったり、アフガニスタン軍閥の武装解除にも携わったすごい人物、全く面識のない僕の突然の電話にも対応してくれた、感謝)を通して、彼の奥様が裁判官であったことから、このままアフガニスタンに残ると、タリバンによって報復を受けることは必至であると、日本政府に働きかけていただき、何と3機目の自衛隊輸送機に乗ることができるようになったのです。  ところがです、反撃することができない自衛隊輸送機は、米軍が安全を確保している所にしか行くことができません。タリバンの進行が極めて早く、カブール空港は包囲されました。カブール空港の周りを包囲したタリバンの中には、アルカイダと関係ある勢力も入っており、その勢力が米軍に向かって発砲を開始した訳です。危険を感じた米軍が撤退すると、自衛隊輸送機単独では行動できません。残念ながら、自衛隊輸送機による救出計画は失敗に終わってしまい、彼からの連絡が途絶えました。  それからしばらくして彼からメッセージが来ました。2021年10月末のことです。 (Dear Sense, I am sorry that I couldn't reply your messages. In the last 10 days we were included in an evacuation process through International Women Judge association.Sowe left Kabul and went Mazar Sharif city. Yesterday we left Afghanistan and last night we arrived Abu Dhabi, UAE. Now we are at a camp. During this period I was notable to write for you.) (お返事できずに申し訳ありません。この10日間、私たちは国際女性裁判官協会を通じて避難プロセスに参加しました。そこで私たちはカブールを離れ、マザリシャリフ市に向かいました。昨日アフガニスタンを出発し、昨晩アラブ首長国連邦のアブダビに到着しました。今はキャンプにいます。この間、お手紙を書くことができませんでした。) 何と、彼と彼の家族は国際女性裁判官協会の支援のもと、馬車に隠れて陸路アブダビに脱出した訳です。  いち早く軍の輸送機を派遣した欧米の諸国は、自国に留学経験があるアフガニスタン人を含む、関係があるかなりの数のアフガニスタンスタン人を救出できました。しかしながら、残念ながら、日本はできなかった。  大学の先輩医師であり外交官でもあったOさんは、コートジボワールでゲリラの人質になった時、開放してくれたのはフランス軍でした。  私は戦争は反対です。しかしながら、綺麗事だけでは済まされないのが現実社会です。最低でも、紛争が起こった地域に軍を派遣し、反撃しながらでも、自国民と、関係者を救出することは国家として最低限の役割でないのかと思う訳です。  冒頭のメッセージにこう返信しました。 (I am glad to hear that you have arrived safely in the U.S. after what must have been a difficult journey. As a Japanese, I was sorry that I could not do anything for you on the day Afghanistan collapsed. I am sure you will face many difficulties in your new country. Please do your best, and I will support you from the shadows. I pray that we can meet one day.) (大変な旅路を経て、無事にアメリカに到着されたと聞き、うれしく思います。アフガニスタンが崩壊した日、日本人としてあなたのために何もできなかったことを残念に思います。新天地では様々な困難に直面すると思います。どうか頑張ってください、陰ながら応援しています。いつかお会いできることを祈っています。) 彼からの返事です。 Thank you Dear Sense, You did what you could. You tried hard for us. This has a great value for me and my family. The next day of the collapse you called me, that increased my hopes and morals. Your manliness and kindness is unforgettable in the memories of my family. I hope to to meet you soon. 全ての人に感謝 ************************** ドクター畑地の診察室222.2023.12.24号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/

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