日刊 大石英司の代替空港
▲▽避難小屋にて▽▲
山の避難小屋にて。ジジイと女
「もうこの時間だし、今日は、われわれ二人きりですかねぇ……。奥さん、私、
ツェルトを持参してますので、それを建てて中で寝ますから、今夜は、お互いい
ないものとして過ごしましょう。雪も降ってきて、霧も出てくるみたいですが、
明日もあることだし、早めに寝ましょう」
30分後、主婦に覆い被さるようにして凝視するジジイの顔が……。
「な、何ですの?」
「奥さん……、寝ちゃダメだ! 寝ちゃ死にますよ!」
「いえ、大丈夫です。私、冬用のシュラフを持っていますから。まだ明るいし、
ちょっとうとうとしただけです」
「山を舐めるんじゃ無い! 目を覚ませ!」パンパーン!
「ひぇー! な、何をなさるの?」
「かくなる上は……」
「あ、何を! ぬ、脱がないで下さい。こんな所で風邪引きますよ」
「かくなる上は、互いのひと肌で温め合い、朝までサバイバルするしかありませ
ん! さ、奥さんも遠慮無く!」
「いえ、だ、大丈夫です! あのほら。運動すれば、体温維持できますから。あ
の、ラジオ体操とか……」
「あ、そうですか……」。開き直るジジイ。
「じゃ奥さん。私がここで見てますから、どうぞラジオ体操して下さい?」
「…………」
「ほら、ほらね! ラジオ体操なんてもう覚えちゃいないでしょう? 男と女!
カラダが覚えている運動と言えば、ひとつしかありませんよ! ね?」
「で、でも、私には夫が! 帰りを待つ家族がおりますの!」
「奥さん! 神は、全てを見ておられます! たとえ、われわれがこの後、肉欲
に溺れたとしても、誰に責められましょうか! 互いが、愛する家族の元に生き
て還るためじゃありませんかッ! さ、その火を飛び越えて来んしゃい!(「潮騒」より)」
「わ……、解りました。じゃ、30分3万円ということで」
「え? 30分……。シャワー時間抜きでってことですよね……。ちょっと厳しい
なぁ。あ、でも頑張ります!」
「あと、オールナイトなら、プラス3万円ということで」
「あ、そういう話なら全然okですぅ! 2回戦3回戦とか出来ますね!」
「いえ。それはまた別料金のオプションということで」
「え? でも普通、オールナイトと言ったら、そういうこと、込み込みですよね?」
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