【入籍】
「あなた、もうイイカゲンにしなさい、何してるバーカ」
ある日、朝からエラの機嫌が悪かった。
いきなり怒鳴られて意味が分からない。
「何?ちゃんとゴミは出したよ」
いつも忘れるのだが、その日は朝からちゃんとゴミ出しをした後だった。
「そうじゃないでしょ、ここに住んでもう1年になるよ」
「はぁ」
全く見当がつかなかった。
「いつになったら結婚するの?ワタシいつ捕まるか分からないよ」
かなり怒っていた。
そうだ、一緒に住むようになったから結婚した気になっていた。
しかし、婚姻届は出していなかった。
別に紙には興味なかったが、よくよく考えると、エラが捕まらないように結婚しようと言ったのだった。
「そうだな、すぐに行こう、まずはどうやったらいいのか聞きに行こう」
すぐに支度して市役所へ出かけた。
「あのー、すみませんどうやって婚姻届を出すんですか?」
全く無知なみつおは、とりあえず市役所の窓口でたずねてみた。
「あ、はい、ではこの書類にお二人の名前と住所を記入してください」
みつおは書類に記入した。
「あと、奥様はどこの国の方ですか?」
「フィリピンです」
「ではこちらに国名を記入ください」
エラの代わりにみつおが書いていたのだが、
「あ、ここのサインだけは本人にお願いできますか?」
「字書けないですよ」
「すみません、ここだけは本人じゃないとダメなんです。ローマ字でもかまいませんよ」
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