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vol.209:ライドシェアの運賃はタクシーとほぼ同じ。それでも7割の人がライドシェアを選ぶ理由とは

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2024/01/01
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 209 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、ライドシェアについてご紹介します。 日本でもいよいよライドシェアが解禁となりました。当面は、交通過疎地、時間帯などから始まります。タクシー会社が管理をすることで、安全面でも一定の担保をし、タクシー業界との共存を図るものになるようです。 まだまだ限定解禁ですが、第一歩の落としどころとしては、非常にうまいスキームになっているのではないでしょうか。問題は次のステップです。ライドシェアは、目的地を地図という視覚/デジタルデータで伝えられるため、インバウンド旅行客にとっては非常に使いやすい交通手段になります。さらに、その次のステップが、需要の多い都市部での解禁になります。どの程度のスピード感で進むのか、期待が膨らんできます。 中国ではご承知のとおり、2016年から滴滴(ディディ)を中心にライドシェアの利用が進み、全国でも約4割がライドシェア、大都市では7割がライドシェアになっています。 よく「ライドシェアになると料金が安くなる」と言われますが、これはライドシェアのビジネスモデルを勘違いされていることから出てくる見方で、中国のライドシェアとタクシー料金はほとんど変わりありません。時間帯によって1割程度やすいだけで、需要の強い場所、時間帯ではタクシーよりも高くなることがしばしばあります。 では、なぜ7割ものの人がライドシェアを選ぶのでしょうか。それは料金ではなく、ユーザー体験です。読者のみなさんの中には、中国や米国、東南アジアでライドシェアを利用された経験がある方も多かと思います。そして、その人の多くが、一度利用しただけで「これはもうタクシーには戻れないな」と感じたのではないでしょうか。それほどユーザー体験が優れています。 今回は、ライドシェアのユーザー体験のどこが優れているのかをご紹介します。また、米ウーバーでも中国の滴滴でも、乗客が運転手に暴行を受ける、殺害されるという事件が起きています。このような危険性にどのような対策が取られているのかについてもご紹介します。 今回は、中国のライドシェアについてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 209 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ ライドシェアの運賃はタクシーとほぼ同じ。それでも7割の人がライドシェアを選ぶ理由とは 小米物語その128 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ライドシェアの運賃はタクシーとほぼ同じ。 それでも7割の人がライドシェアを選ぶ理由とは ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、ライドシェアについてご紹介します。 いよいよ日本でもライドシェアが始まることが報道されました。タクシーが不足している地域、時間帯に限定され、タクシー会社が管理を担うという形ですが、第一歩としてはいい落としどころではないかと思います。 一部では、料金がタクシーよりも安くなることを期待する向きもありますが、当面は料金はタクシーと同じ体系になるようです(交通過疎地では8割程度にするという仕組みも用意されるようです)。中国のライドシェアでも運賃はタクシーとほぼ同レベルです。異なるのはタクシーは基本的に距離従量制でいつでも同じ料金(深夜割増などはある)ですが、ライドシェアは需給バランスで価格が決まるダイナミックプライシングであるということです。そのため、午後などの需要が弱い時間帯には、ライドシェアはタクシーよりも1割から2割ほど安くなりますが、夕食後の需要の強い時間帯にはタクシーよりも高くなることもあります。運賃に関しては、若干安めではあるもののタクシーとほぼ同じ。キャンペーンなどで配布されるクーポンを使うとお得になる程度のことです。 これは考えてみればあたり前のことです。タクシーもライドシェアも、乗客を運ぶ「業として」自動車と運転手を提供します。安全、接客など求められるサービス水準も基本的には同じです。つまり、同じコストがかかるのですから、運賃もほぼ同じになるというのはあたり前のことです。「いや、私が海外で乗った時は、タクシーよりはるかに安かった」とおっしゃる方もいるかと思いますが、それは優待クーポンが適用されたり、割引キャンペーン中で、ライドシェア企業が利用者を獲得するために戦略的に大幅割引をしていたからです。中国では2016年にライドシェアが本格的に始まって7年、優待クーポンや割引などもまだありますが、多くの場合は本来の運賃になっており、タクシーよりは若干安い程度に落ち着いています。 ライドシェアのことを議論する場合に、気をつけておかなければならないのが、ライドシェアは大別して2種類あるということです。ひとつはC2Cのヒッチハイク型で、もうひとつはB2Cのタクシー型です。 C2Cのヒッチハイク型ライドシェアは、利益を出さないシェアリングエコノミー活動です。私がマイカーを持っていて、元々、明日、東京から静岡まで移動する予定があったとします。そのことをプラットフォームに登録をすると、同じ移動をした人とマッチングされます。移動には燃料代や高速代がかかりますが、これは元々自分で負担をするつもりのものでした。誰かを乗せて、その半分程度を負担してくれれば御の字です。このため、C2C型は運転手としての報酬はなく、必要な経費が安く済むというものです。乗客の方は必要な経費を半分程度負担するという、運賃としては格安料金で移動できることになります。

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