日本復活「コロンブスの卵」
米側反対は政治家の感情論
半導体や量子では日米共同
日本企業にとって23年12月は、大きな節目となった。日本製鉄(日鉄)が、米国のUSスチール子会社化を発表した直後に、東芝は企業再建目的で上場廃止となったからだ。この明暗を分けた二つのニュースは、日本が不動産バブル崩壊の重圧から脱して、次なる目的を明確にして踏み出した象徴である。
日鉄は、かつて世界経済を動かしたUSスチールを子会社化して、世界鉄鋼業のリーダーシップを確立しようという目的を明確に打ち出した。東芝は、これまで主体性を発揮できず、「アクティビスト」(物を言う株主)の目先利益の追求に翻弄されて「売り食い生活」を余儀なくされた。だが、日本企業の後援を得てひとまず上場を廃止し、体力を回復させ技術で再勝負する体制を整えようとしている。
攻めの日鉄と上場廃止する東芝は、日本企業が「失われた30年」でようやく次なるステップへ向って動き出した証拠である。だが、なぜこれほど長期にわたる「休眠期間」を必要としたのか。30年といえば、人間で言えば1世代である。親から子どもへの代替わり期間に相当する。日本では、子どもが親の失敗を乗り越えて、立ち上がったとみるべきだろう。同じ失敗を繰返さない、という意味である。
日本復活「コロンブスの卵」
日本企業は、不動産バブル崩壊後の過剰債務による重圧で、「30年間」も前向き姿勢で経営を考える余裕もなかった。ひたすら流動性を確保して、企業倒産を回避することに精力を使い果していた。具体的には、コストカット重視という後ろ向き経営に終始したが、日本経済全体を「需要不足」に陥れる「合成の誤謬」を招き、「日本総貧乏」という事態に落ち込んだ。今、その誤りに気づいたのである。まさに、コロンブスの卵である。コストカットをしないで価格転嫁する。これが、経済の好循環を生み出すのである。
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