ヒント:国際空港評議会が発表している「今後の世界旅客数予測」によれば、早くとも2024年、遅くとも2025年には、2019年と同水準に回復する見通しです。
今回は、2023年12月15日に発表されたHISのFY23(2022年11月〜2023年10月、以降省略) 決算について、解説・深掘りしていきます。
2020年3月から流行が開始した新型コロナウイルスの影響によって、海外旅行市場も大きな影響を受けました。
2023年12月現在は、ウィズコロナからアフターコロナへの移行が進み、経済活動が回復していますが、海外旅行市場はどのような状況にあるのでしょうか?
今回の記事は、前半で新型コロナウイルスからの海外旅行市場の回復、後半でHISの業績やHISの決算から見る「日本人の海外旅行市場の変化や再成長戦略」を深掘りしていきます。
海外旅行市場の回復状況は?
上図は、2023年にJTBが発表した「各国・地域へのアウトバウンド(海外)旅行者数の回復状況」です。
2020年4月から始まった新型コロナウイルスの流行のため、日本政府が実施した緊急事態宣言の発令や海外渡航制限等により、日本人の海外旅行者数は大きく低下しました。
新型コロナウイルスが収束した現在でも、日本の海外旅行者数は、他の国や地域に比べて回復が遅れていることが分かります(上図参照)。
背景には、新型コロナウイルスによる行動制限等の影響に加えて、2022年3月中旬から始まった円安の影響や物価高によって、海外旅行にかかる実質的な費用負担が重くなっていることが考えられます。
●円安の影響(USドル/円の為替レート)
・2022年3月15日:1ドル=118円前後(終値)
・2023年12月15日:1ドル=142円前後(終値)
次は、新型コロナウイルスによって低下している日本の海外旅行者数の推移を見ていきます。
上図は、FY19〜FY23(2018年11月〜2023年10月)の出国する日本人数の推移です。
新型コロナウイルス流行の影響で、2020年3月以降、日本人の海外渡航が急激に減少しました。
新型コロナウイルスの収束が進む中で、2022年4月1日に海外感染症危険情報のレベルが引き下げられて以降、順次緩和されていきます。2023年5月8日以降は、新型コロナウイルスの水際対策は解除されています。
2023年5月8日には、新型コロナウイルスは、感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行し、ウィズコロナからアフターコロナへシフトがますます進んでいます。
一方で、新型コロナウイルスの流行前後を比べると、FY19(2018年11月〜2019年10月、以降省略)とFY23の出国する日本人数を比べると、いまだに42.2%の回復に留まっています。
このように、海外旅行市場は、新型コロナウイルス流行の影響からの本格的な回復にはまだ程遠いといえるでしょう。
ここまでは、新型コロナウイルスからの海外旅行市場の回復について、解説してきました。
ここから記事の後半では、HISの業績や海外旅行市場のトレンドについて解説した上で、今後のHISの再成長戦略等を深掘りしていきます。
この記事は、海外旅行関連ビジネスに従事している方や事業戦略に関心がある方に最適な内容になっています。
Q. HISがコロナから回復傾向!決算から見る日本人の海外旅行市場は?の答え
最新のHISの決算によると、FY23の営業利益は、FY19以来の黒字化を達成しており、回復傾向が見られます。
またHIS決算から見る日本人の海外旅行トレンドは以下の通り。
・販売チャネル:インターネット経由の販売比率の増加
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