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2023年を振り返って

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室223.2023.12.31. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 2023年を振り返って  2023年は久しぶりに通常通り病院忘年会を行なった。3年間の鬱憤を晴らすべく、非常に盛り上がった忘年会となった。まさに我々は3年間COVID-19に振り回されてきたわけだが、ようやく通常の生活を戻しつつある。通常の感染症と警戒を要する感染症の境目は何なんだろうかと考えたときに私は1つの回答にたどり着く。通常の感染症は「感染に罹患しても、元気な方や若年者は重症化しない感染症」、警戒を要する感染症は「元気な方や若年者でも重症化する感染症」と言えるのではないだろうか。  感染症に罹患した際、救命できるかどうかを決定する大きな要素は元々の全身状態である。どのように優れた治療薬があったとしても、元々の全身状態が悪い方は命を失う。例えば、100歳を超えた元気がない方は風邪をひいても命に関わるわけで、ある意味、高齢者や元気でない方が、感染症に罹患した時に亡くなることは普通のことであるし、COVID-19に限ったことではない。  その観点から考えると、大きな転機は2021年の11月であったと思われる。第5波から6波になった途端、罹患する患者は増えたものの、若年者が重症化しなくなった。入院するのは、ご高齢、あるいは、基礎疾患がある患者さんがほとんどになったわけである。まだ警戒を完全にとくわけにはいかないが、通常の感染症になってきたと言える。もう少し早くにCOVID-19を5類にして良かったのではと考えるのは、自分だけではあるまい。  一方、COVID-19を経験したメリットはほとんどないわけであるが、唯一あるとすると、国の肝入りで、普通の病院でPCR検査ができるようになった点であろう。我々の病院でも、COVID-19パンデミックを契機にPCR検査が可能となったし、さらにはNGS(次世代シーケンサー)を使用して、どのCOVID-19か正確にタイプを分析可能となった。また、COVID-19にとどまらず、ウイルス、細菌など、速やかに薬剤耐性遺伝子の有も含めて網羅的に診断できるFilm Arrayシステムを導入して、呼吸器感染症治療に利用している。  さて、年明けからは60歳以上にRSウィルスのワクチン接種が認可される。成人においては、小児とは違い、抗原検査でRSウィルス感染をチェックする事は難しい(小児に比べて感度が著しく落ちる)と言われており、診断にはPCR検査が必要である。単独でPCR検査を行うことは、呼吸器感染症原因菌が数多くあることを考えると、現実問題として不可能であり、網羅的にFilm Arrayシステムを用いて診断することが一般的になるのではなかろうか。  国際的なCOPDの治療指針であるGOLDにはRSウイルスワクチンは、基礎疾患に心疾患や呼吸器疾患がある高齢者には接種するよう推奨されているわけであるが、エビデンスレベルはAと、インフルエンザやCOVID-19、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチン(これらは全てevidenceB)よりも高くなっている。是非、60歳以上の基礎疾患がある方は、接種を前向きに考えていただきたい。  さて、COVID-19で色々なイベントが中止された訳であるが、三重県初のフルマラソン大会である松阪マラソンも初開催が延期されていた。昨年2年越しに初回大会が開催され、私も出場、6時間38分でどうにか完走できた。本年2回目が行われたわけであるが、何と5時間23分と大幅にタイムを縮め、完走できた。来年ももちろん出場させていただこうと考えており、その際には今年より少しでも良いタイムで完走したいと考えている。  皆さん、良いお年を ************************** ドクター畑地の診察室223.2023.12.31号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2023年11月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2023/11 2023/11/26 三重パチ

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