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『 田中優の未来レポート 』
第298号/2023.12.30
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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「税負担を増やす政府ではなく、税負担を軽くする政府を」
新たな税負担ばかりが増えて 親しい一級建築士の友人は税金が高すぎて働く気が失せるほどだという。詳しく聞くと、所得税で得た金額から簡単に二割引かれ、住民税が一年遅れだが同じ所得だったとすればほぼ所得税とほぼ同じくらい取られ、合わせて四割近く税に奪われる。その友人は自営業だから、さらに得た所得に対して約一割の消費税を払わなければならず、前年も消費税を納付していれば「予定納税」として消費税負担がなくても納税させられる。もちろんあとで精算すれば正しい数字にして、最終的には帳尻が合うことにはなるが、まだ現実の収入がないのに支払いを求められる。そして彼の場合、所得の約八割が税と社会保障負担によって取られることになる。彼の建築は非常に良心的であるために、結果として多額に納税させられる。
得た収入の内から自分で使える可処分所得は二割ほどになり、多額の所得を得たつもりで「大盤振る舞い」などしたら、事態は赤字にのめり込んでしまう。「大盤振る舞い」などもってのほかだから消費はおさえざるを得ない。地域や本人の周囲全体へカネが回らなくなる。こうしてさらに不景気に落ち込んでいく。
岸田首相が「増税メガネ」というあだ名がついていたように、人々が負担させられる納税額は大きくなり、ますます消費を落ち込ませている。福祉政策が乏しい日本だというのに、国民の税と社会保障を合わせた負担は、所得のほぼ半分に達するほどだ(図1)。
図1
つまり一年の内の半年は国の税と社会保障負担のために働かされている構図だ。
せめて所得が得られた時に、周囲を潤わせるぐらいのささやかな「振る舞い」くらいできればと思うのだが、残念ながら重税や社会保険料負担が重すぎてそれもできない。やっとのことで生きているだけの生活では、景気を回復させる消費は抑えられるばかりだ。さらにそれを悪化させているのが買い物すべてにかかってくる「消費税負担」だ。今では消費税は掛かって当たり前だが、これが始まったのは1989年からだ(図2)。
図2
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