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第245号 ものぐさ太郎/三日/欲望と新自由主義

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  • 2024/01/03
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「ものぐさ太郎」 「国民から嫌われている国会議員」というワーストランキングの常連さんでもある「麻生太郎」と「河野太郎」という最悪の世襲議員二人に、昨年九月に不倫が発覚して文部科学大臣政務官を事実上の更迭となった参議院議員の「山田太郎」を加えると「自民党の三バカ太郎」が完成する。一方、多くの国民から愛されてる日本の昔ばなしの「太郎」と言えば、『桃太郎』『金太郎』『浦島太郎』が「三大太郎」と呼べるだろう。この三つの昔ばなしなら、誰もがザックリとしたストーリーくらい知ってると思う。 こうした日本の昔ばなしって、もともとは全国各地の村々で、親から子へ、子から孫へと、先祖代々口承で伝えられて来た「民話」が元になってる。そのため、どの物語にも共通する点が二つある。一つは、どの物語も「作者不詳」という点。もう一つは「複数のバージョンが存在する」という点だ。どこかの土地で生まれた民話は、何十年、何百年と語り継がれて行くうちに、他の土地へも広がって行き、その過程で少しずつ変化して来た。 山の村で生まれた民話が海辺の村に伝わると、基本的なストーリーは同じでも、主人公が「樵(きこり)」から「漁師」に変わったり、山で起こる「地崩れ」が海で起こる「津波」に変わったりする。そして、全国各地に様々なバージョンが生まれ、それらのが入り混じってブラッシュアップされて行き、最もメジャーになったものが室町時代から江戸時代に掛けて「御伽草子(おとぎぞうし)」としてまとめられ、そこから現代の『桃太郎』や『金太郎』や『浦島太郎』が生まれて来た。 だから、今でも各地には、驚くべき別バージョンが存在する。たとえば、香川県高松市の鬼無(きなし)という地域には、女の子が主人公の『桃太郎』が伝えられてる。川に洗濯に行ったおばあさんが、どんぶらこっこと流れて来た大きな桃を持ち帰り、おじいさんと二人で食べた。そしたら、ナナナナナント!二人は若返っちゃう!そこで、何十年ぶりかでセックスをしてみたら、おばあさんが妊娠して元気な女の子を産んじゃうのだ。 で、その子はメッチャ可愛いかったんだけど、この地域は昔から鬼が多いと言われてた土地で、可愛い女の子は高確率で鬼にさらわれちゃう。そこで、おじいさんとおばあさんは、女の子が鬼にさらわれないように「桃太郎」と名づけて、男の子として育てることにした。そして、その子は大きくなって鬼退治に行き、ここらの鬼を全部やっつけちゃう。それで、この地域は「鬼無(きなし)」と呼ばれるようになった。めでたし、めでたし‥‥っていう話だ。 ‥‥そんなわけで、様々なバージョンが存在するというのは、超メジャーな昔ばなしに限ったことじゃない。『桃太郎』『金太郎』『浦島太郎』という「三大太郎」を一軍のスタメンだとすれば、その下のベンチ入り要員に当たるのが『三年寝太郎』や『隣の寝太郎』に代表される一連の『寝太郎』シリーズと、同じようなストーリーの『ものぐさ太郎』だろう。どちらも、最初は怠け者だと思ってた主人公が、何かをキッカケにして急に大活躍して、村を救うという感じの話だ。そして、そんな『寝太郎』や『ものぐさ太郎』にも様々なバージョンが存在する。 前にもチョコっと書いたけど、あたしは北海道から沖縄まで、全国各地の民話をコレクションしてて、その中には明らかに有名な昔ばなしの別バージョンと思われるものが多々ある。そこで今回は、今年の十二支である「辰」にちなんで、『ものぐさ太郎』に「龍」が登場する別バージョンを紹介したいと思う。 ちなみに、『桃太郎』は岡山県、『金太郎』は神奈川県、『浦島太郎』は京都府が発祥の地と言われてるけど、他にも、これらの昔ばなしの発祥の地だと主張してる地域がいくつもあるので、ホントのことは誰にも分からない。やっぱり、超メジャーな昔ばなしには発祥の地を名乗りたがる地域が多いみたいだ。「三大太郎」のうちの一人の発祥の地に認定されれば、経済効果が期待できるからだろう。 その点、長野県が発祥の地と言われてる『ものぐさ太郎』は、他に主張してる地域がほとんどない。たくさん別バージョンがあるのに、その大半は長野県内での話としてまとめられてる。どうしてかと言うと、この『ものぐさ太郎』は、「むかしむかし、信濃国筑摩郡あたらしの郷というところに、ものぐさ太郎という男が住んでいた」という書き出しで始まる「地域限定」の昔ばなしだからだ。 普通はどんな昔ばなしでも、「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが~」というように、何も限定せずに始まるから、他の地方へ広まれば、それぞれの土地の物語として変化して行く。だけど『ものぐさ太郎』の場合は、最初から「信濃国(しなののくに)」と限定しちゃってるので、仮に他の地方へ広まったとしても、そちらでも「信濃国の話」として語り継がれて行ったパターンが多かったんだと思う。 だから、今回紹介する『ものぐさ太郎』の別バージョンも、地域は本家の『ものぐさ太郎』と変わらない。ただ、内容が大幅に違ってて面白い‥‥というわけで、前置きはこれくらいにして、そろそろ行ってみよう♪ ‥‥そんなわけで、むかしむかし、遥かむかし、まだ八百万(やおよろず)の神々と人々とが近しかった時代のこと、ここ信濃にも、

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