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中国経済「非常識の代償」、不良債権“凍結”がもたらす「三流国経済」転落リスク

勝又壽良の経済時評
  • 2024/01/04
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病巣を切除せずに凍結 不動産バブルを悪用へ 習氏は経済苦境を承認 行き詰る共産主義経済 中国経済は正直正銘、岐路に立たされている。不良債権処理を巡る対応策が混迷しているからだ。本来であれば、不良債権は個別企業の問題であるから、政府の介入すべきことではない。だが、中国の場合はこういう「正統論」が通用しない特殊事情を抱えている。地方政府が、不動産バブルで土地国有制を利用し莫大な歳入を得てきたのである。この点が、他国とは全く事情が異なる点である。 現在は、不動産バブルが崩壊して地方政府へ莫大な歳入減をもたらしている。代替財源がない現実を直視するならば、中央政府が早急に不良債権の処理に当たるのは当然であろう。中央政府は、この当然である不良債権処理に対して逃げ腰である。財政赤字を増やすことになるからだ。 これは、国家主席である習近平氏の業績に「傷」を付けることになる。こうした理由で、財政赤字を増やさずに済ませるには、金融緩和をテコに大型企業倒産を防ぎ、不良債権を未処理のまま「凍結」することになる。習近平氏は、この安易な道を選択したのだ。 病巣を切除せずに凍結 習近平氏は、前述のような非常識な手段に出ているが、これは中国経済の「命取り」になるリスクになろう。中国人民銀行が、金融緩和によって流動性をたっぷりと供給して、不動産開発企業の大型倒産を防いだとしても、中国経済にプラスにはならないのだ。その融資が、生産性を上げる前向きの効果をもたらさないからである。逆に、その無意味な融資によって、有益な新規融資が妨げられるマイナス効果が出るのだ。具体的には、次の例で考えてみたい。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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