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2024.01.08発行 NO:0119
家畜人ヤプー倶楽部(家畜人ヤプー全権代理人 康芳夫)
沼正三 自筆原稿より『最初の家畜は人間だった』
ブラック・ポルノグラフィー 家畜人ヤプー 沼 正三
・・・『血と薔薇』1969年 No.4より
毎月 第1月曜日(祝祭日・年末年始を除く)発行
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◆一九七◯年 三島由紀夫氏(『潮』七月号より)
戦後の日本人が書いた観念小説としては絶頂だろう・・・・・・・・・
この小説で感心するのは、前提が一つ与えられたら世界は変わるんだというこ
とを証明している。普通にいわれるマゾヒズムというのは、屈辱が快楽だとい
う前提が一つ与えられたら、そこから何かがすべり出す。すべり出したら、そ
れが全世界を被う体系になっちゃう。そして、その理論体系に誰も抵抗できな
ってしまう。もう政治も経済も文学も道徳も、みんなそれに包み込まれちゃう
。そのおそろしさをあの小説は書いているんだよ
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◆沼正三 自筆原稿より『最初の家畜は人間だった』
ここに、三首の和歌を併記してみよう。『家畜人ヤプー』執筆の遠因を説く手
がかりともなりそうだからである。
貧すれば鈍するとかや金持に
なりし日本は賢人ばかり
---曽宮一念『雁わたる』
あしざまに 国をのろひて言ふことを
今の心のよろどころとす
---釈 迢空『倭をぐな』
中年の男同志の「友情論」
毛ごと煮られてゐる鳥料理
---寺山修司『テーブルの上の荒野』
前二首は、愛国、愛国とやけに喧しい当世の風潮に対する反発と自己嫌悪、残
る一首は金子みすゞの詩にも通じる人間呪詛、これらのものが通奏低音のよう
にマゾヒズムの概念の基底をなして欲する。
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