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vol.65「70代は老人じゃない! ますます自由自在に羽ばたく!生きる伝説“ユーミン”の人生に迫る!」

小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」 vol.65「70代は老人じゃない! ますます自由自在に羽ばたく!生きる伝説“ユーミン”の人生に迫る!」 【今週の目次】 ============== 1. 成美のつぶやき └「飛竜乗雲」の年に └日本を代表する写真家・篠山紀信さんとの秘話 2. 70代は老人じゃない! ますます自由自在に羽ばたく!生きる伝説“ユーミン”の人生に迫る! └『DAWN PURPLE(ドーン・パープル)』に込めた意味 └ユーミンの音楽活動にかける「想い」と「覚悟」 └ユーミンは、なぜ“ユーミン”になったのか? └ユーミンの神秘性 └美大で作曲家志望。決して歌手になるつもりはなかった!? └音楽活動を始めたばかりの頃のユーミンはどんな歌手だったのか? └ゴールを決めない!やれるだけやる!! 3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ ============== 1. 成美のつぶやき 「飛竜乗雲」の年に 新年あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 令和6(2024)年の今年は辰年ですね。 その最初の日に「飛竜乗雲」(ひりゅうじょううん)という言葉を思い出し、書にしたためました。「飛竜乗雲」は、竜が雲に乗って颯爽と昇っていく様子のことです。転じて、英雄や賢者が機会に恵まれて能力を発揮し活躍する様子を示しています。 皆様が自らの目標・目的に向かって素晴らしい才能を発揮される1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。 1月1日の能登半島地震、そして翌日2日、羽田空港でのJAL機と海上保安庁機の衝突事故の衝撃をいまだに受け止めきれずにいます。皆さんもきっと同じ気持ちいらっしゃるでしょう。 「令和6年能登半島地震」により被災された皆様、並びにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。 皆様の安全と被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 (ささやかですが、被災地のために私と仲間でできることを始めました。皆さんにもお声がけすることがあると思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。) そんな中、また一つ悲しいニュースに触れることになりました。1月4日、写真家の篠山紀信さんが亡くなったのです。日本人であれば、篠山さんの作品を必ずどこかで目にしていることでしょう。昭和、平成、令和と、その創作で時代の先頭を走っていました。 日本を代表する写真家・篠山紀信さんとの秘話 篠山さんのプロフィールです。 1940年東京生まれ。日本大学藝術学部写真学科在学中の61年に広告写真家協会展APA賞受賞。広告制作会社「ライトパブリシティ」を経て、68年よりフリー写真家として活動開始。66年東京国立近代美術館「現代写真の10人」展に最年少で参加。76年にはヴェネチア・ビエンナーレ日本館の代表作家に選ばれるなど、その表現は早くから評価を受ける一方で、71年より『明星』の表紙を担当して以降、写真家として時代を牽引する存在となる。70年日本写真協会年度賞、72年芸術選奨文部大臣新人賞、73年講談社出版文化賞、79年毎日芸術賞、98年国際写真フェスティバル金賞、2020年菊池寛賞など受賞歴多数(書籍『新・晴れた日』より) 私は、長年、篠山さんの撮影現場の近くにいる機会を得ました。 篠山さんが18代目中村勘三郎さん(2012年逝去)をはじめとする歌舞伎役者とその芝居の撮影をしていたので、同じ取材チームの一員としてカメラを持ってシャッターを押す篠山さんの背中を見ていました。 森光子さんの本を書く時には、森さんの撮影についてのエピソードを取材するためインタビューをさせていただいたことがあります。 「僕はただ撮るだけ、ただシャッターを押すだけだよ」 撮影という行為や被写体に哲学なんて求めない、ただ取りたいと感じたものをフレームに捉え、シャッターを押しているだけ。 篠山さんは、写真家としての功績や篠山作品の芸術性を語る人に、面映そうな表情でそう言っていました。 1991年出版した女優の樋口可南子さんをモデルにした写真集「Water Fruit 不測の事態」や、当時トップアイドルだった宮沢りえさんのヌード写真集「Santa Fe」が、時代を変えた革命だと誉めそやされても、篠山さんはまるで他人事といった顔をしていました。新たに撮影する被写体にしか、その魂を揺り動かされることがなかったからです。 歌舞伎座で毎月、上演中の歌舞伎の写真を撮る時には、観客の視線を遮らないよう、背中を丸め、通路の端っこで、アシスタントもなく一人でシャッターを切っていました。歌舞伎では、そのシャッターを切る回数も自由ではありません。カメラにシリコンのカバーをつけて音が鳴らないようしていましたが、歌舞伎役者の声と鳴り物以外の音を劇場に響かせることに、篠山さんは最新の注意を払っていました。 篠山さんの作品に写る人の瞳が、私は好でした。瑞々しく潤んで、いつも特別な光を湛えていたからです。私がそう告げると、篠山さんはこう言いました。 「それはそうだよ。世界で一番、その人のことを素敵だ、と思っている僕が撮っているんだから」 その気持ちは、インタビューをする私と全く同じでした。私もよく、 「どうして小松さんは取材が難しいと言われている人の話を聞くことができるのですか?」 と問われるのですが、その時に答えられることはただ一つでした。それは、私が向き合うその人を誰よりも素敵だと思っているからです。 「篠山さん、私も同じです」 と、告げると篠山さんは笑って、 「そうだよな、僕たちのような仕事で良い作品を残すには、その気持ちしかないよな」 と言いました。

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  • これまでノンフィクション作家として、たくさんのトップアスリートやトップ経営者の唯一無二の「人生」を取材してきました。その経験をもとに、書籍だけでは書ききれなかった小松成美流のコミュニケーション方法や独自哲学を伝えていきたいと思います。経営に、スポーツに、文化に。多岐に渡って、学びあるコラムを配信して参ります。誰もが発信者となる時代に、是非ご参加ください。
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