小林よしのりライジング
第491号 その2 2023.1.9発行
第314回「へんなミニ政党がなぜこんなに増えたのか?」
昨年は、どうにもならない内輪もめを起こしている日本保守党の様子や、陰謀論を信じて大同団結したはずが大分裂に至った参政党の様子を観察してレポートした。
日本保守党は、現在ネットで大量の候補者を公募していて、すでに200名以上が応募しているらしい。
参政党と似たようなネットを使ったかき集めで、どんな人間が躍り出て、なにを演説しはじめるのかと思うとげんなりする。
では、このような「へんなミニ政党」がなぜ次々と出てくるのか? 少し考えてみたい。
●比例代表制とミニ政党
まず選挙制度について整理しておこう。
ミニ政党が国会に議員を送り込めるようになったのは、1983年に比例代表制が導入されてからのことだ。
1983年の参院選では、経済学者の青木茂らが「サラリーマン新党」を結成、サラリーマンへの税制の不公平を訴えて2議席を獲得したが、89年には議席を失った。
1989年の参院選では、アントニオ猪木らが「スポーツ平和党」を結成、スポーツの精神で平和を実現しようと訴えて1議席を獲得したが、95年に議席を失った。
私の記憶のなかでいちばん驚愕したのは、2019年の参院選で、立花孝志らの「NHKから国民を守る党」が1議席を獲得したこと、2022年にガーシーを当選させたことだ。
比例代表選は、衆院選の場合、全国を11にブロックに分けし、ブロックごとに当選数が決まるが、参院選の場合、全国単一ブロックで行われる。
そのため、得票率の低い小政党でも議席を獲得できるチャンスがあるという仕組みになっている。
よく言われる比例代表制のメリットは「死票を減らすことができる」というものだが、ガーシーのような人間を当選させてしまった事実を考えると、死んだままのほうがよい票が増えているのでは? と思えてくる。
●選挙には供託金が必要ですが…
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