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中国経済「巣ごもり」、成長より体制維持の欠陥露呈 間近にきた「年金亡国」

勝又壽良の経済時評
  • 2024/01/11
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財政出動が再建のカギ握る 年末年始の住宅販売は不振 定年60歳が襲う国家悲劇 年金支給は現役所得の7割 中国経済最大の課題は、不動産バブル崩壊による後遺症(過剰債務)処理をいかに早めるか、である。これによって、将来の経済成長への道筋が描けるからだ。だが、習近平国家主席は財政赤字を増やさず、金融緩和で凌ごうという「緩い」姿勢である。 日本が、「失われた30年」を余儀なくされたのは、不良債権処理に手間取ったからである。1990年、年頭に株価が暴落し秋頃から不動産相場の下落を誘発した。当時の日本政府には、バブル崩壊という認識がゼロであり、国債増発で克服できるというケインズ主義の亡霊に取り憑かれていた。結局2005年、小泉政権によって不良債権整理が完了した。この間、日本は15年にわたって時間を空費したのである。 財政出動が再建のカギ握る 中国は、こういう日本の誤りを繰返そうとしている。相変わらずのインフラ投資で、地方経済のテコ入れを図り、不良債権処理は金融機関に任せるという微温的な姿勢である。中国の抱える債務総額は、当時の日本を大幅に上回る350兆円(隠れ債務を含む)にも達する勢いだ。特に、地方政府の財政困窮が激しくなっている。自力での財政再建が不可能な事態である。中央政府が、財政赤字拡大を覚悟して支援強化しない限り、立ち直りは困難な状況だ。 地方政府の財政困窮は、住宅販売の長期不振が理由である。住宅が売れなければ、新規の建設用地売却チャンスがないからだ。この土地売却収益が、地方政府歳入の3~4割も占める異常な財政状態にある。固定資産税(不動産税)も相続税も存在しない地方政府は、土地売却益なしに行政が成り立たない状況に陥っている。この事態を救うには、未完成住宅の工事を再開させて、市民に対して安心感を取戻させることである。これが、政府への信頼感を繋ぎ止め、個人消費を増やす糸口になるのだ。この「迂回コース」の重要性が、習氏に分らないのだ。 習氏は、財政赤字を増やさない政策が、共産党政権の命脈を保つ上に必要と信じ切っている。経済成長よりも、赤字を増やさないことによる体制維持が不可欠という信念である。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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