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●「詐欺師」の跋扈を許すな

安恒理の「ここでしか書かない話」~メディアの裏を読む~
【もくじ】 1)大災害に便乗する「自称」予知能力者 2)プロ野球・暴行事件の裏側 3)ヤジに敏感に反応した選手2人 1)大災害に便乗する「自称」予知能力者 能登地震のその後が連日ニュースなどで伝えられ、被災者たちの苦境が伝わってくる。一日でも早く、通常の生活に戻られることを切に願うばかりだが。 そしてこういった大災害が起きると、「私はこの災害をあらかじめ予知していた」などという自称・予言者が湧き出してきたりする。 今回、1月1日に石川県を襲った地震に関しては、すでに2020年12月以降に群発地震が発生、2022年6月には最大震度6弱も観測していた。 地震学の専門家なども、「最大震度の地震がいつくるかわからない」と警鐘を鳴らしていただけに、「オカルト」的な予言者が湧き出る予知はなかった。 ただ過去の震災では「私は予知していた」などと言い出す輩も多かった。 ワタシの記憶で鮮明に残っているのが、2007年7月の新潟県中越地震のとき。 予知夢によって予言ができるとして一時期テレビなどのメディアに露出していたジュセリーノ・ダ・ルースなるブラジル人がいた。 この新潟県中越地震を予言し的中させたとしているが……。 予言の内容は、 「2007年もしくは2008年の7月13日。日本で巨大地震が発生し、多くの死者が出る」 というもの。 これに相当するものとして2007年7月16日の新潟県中越沖地震が発生。死者は15人。2008年には相当する地震は発生していない。日付や「多くの死者」という点で、果たして当たったといえるか、どうか。 しかも多くの予言は、事後に「予言していた」と言い出すもの。予知していたしていたことを、予知の対象となった人物や政府機関などに事前に手紙を出し、予知していたことの証拠としてそのコピーを公証役場に登記する。実際に予知が当たったときに、それを公表しているのだ。 古くからある手口ではある。 まんまと騙された日本のテレビ局は、ジュセリーノをテレビ出演させ、「的中率90%以上」と持ち上げた。 しかし、ジュセリーノは、事前に地震その他の災害を数多く予言しているが、懸賞した結果、驚くほど(というか当然のことながら)的中率は低い。「当たった」とされているのは、事後に「予知していた」と公表したものばかりだ。 テレビ番組に出演後、ジュセリーノ著書による書籍が飛ぶように売れたという。

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