目次
1. マンホールのふたの維持管理を、ゲームで楽しむ
2.なぜ、行政の業務に、民間企業の技術やアイデアが必要なのか
3.官民連携の成功を阻む、互いの「強み」のミスマッチ
4.事例1:介護業界の人材難を、マッチングサイトで解決
5.事例1:「介護の人材難」の解決戦略と自治体への実装例
6.事例1から見える成功するポイント:リーチする「対象」と「安心感」
7.事例2:児童相談所の業務過多を、AI(人工知能)で解決
8.事例2:「児童相談所の業務改善」の解決戦略と自治体への実装例
9.事例2から見える成功するポイント:「現場の課題ファースト」と「説得材料」
10.まとめ
1. マンホールのふたの維持管理を、ゲームで楽しむ
突然ですが、マンホールのふたについて考えてみます。
自治体にある何百ものマンホールのふた。ふだんは気にも留めていませんが、ガタついていたり破損していたりしていたら大変です。自転車がそこで事故を起こしたり、歩行者が下水道に落ちたりしたら深刻な事態になります。それを防ぐために、毎日市内中を、ふたを確認するだけに巡回する専門職員を配置する必要がありそうです。
でも一方で、実際問題、マンホールのふたはとても頑丈にできています。破損が起きるのは非常にまれなことです。そのためにかかる人件費や管理コストは、ある意味で「ムダ」と言えるものかもしれません。
安全とコスト、難しい問題です。なんとかアイデアと技術の力で、解決できないでしょうか?
とてもユニークな事例があります。
愛知県岡崎市では、2022年に、下水事業が始まっておよそ100年になることを記念して「#マンホール聖戦in岡崎」という2日間のイベントを開催しました。
参加者は、市内にあるマンホールを探して、「TEKKON」というアプリを利用し、そのふたの写真をできるだけ多く撮影することにチャレンジします。たくさん撮影できた参加者には、商品券や地元のグッズ・食品などの商品が出されました。
(参考)マンホール聖戦 in 岡崎
なぜこんなことをしたのか。TEKKONでは、ふたの写真を位置情報と共にデータとして集計します。行政側はそれを見ることで、わざわざ職員を派遣してチェックする手間を省けます。またTEKKONには別に、アプリの利用者が他人の撮影した写真を見て、何らかの不具合が起きているか「レビュー」する仕組みもあります(公式HPによれば、こうした活動に対して報酬も設定されていようです)。
楽しんで市民が撮影した写真を、市民がレビューしてくれる。こうすることで、行政側の管理コストは減りますし、市民側は楽しみながら景品ももらえます。双方にとってメリットのある企画といえます。
2.なぜ、行政の業務に、民間企業の技術やアイデアが必要なのか
千正組では官と民での政策作りのサポートに力を入れています。質の高い政策作りのためには、官民の連携がより重要になってきていると考えているからです。
その理由の一つが、「公務員の人手不足」です。
みなさんご存知のように、世界でもまれに見る少子高齢化および人口減少が進む日本では、社会課題は複雑化し、増え続けています。しかし、それに対応する公務員の人では足りていません。
国の予算は増加傾向(平成22年の当初予算は約92兆円で令和5年当初予算は約114兆円であり、ほぼ10%増(歳出ベースだと40%増))ですが、国家公務員の定員はほぼ横ばいの状況です。また地方公務員の総数も令和に入って、少し増加がみられますが、平成8年をピークに平成30年ごろまでは減少の一途でした。
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