文明の万華鏡 第141号
www.japan-world-trends.com
☆――――――――――――――――
はじめに
遅まきながら新年のご挨拶を申し上げます。大変なスタートの元日でしたが、今年もよろしくお願いします。
元日の日経一面が「(日本経済のポテンシャルを)解き放て!」という大きな文字でうまっていたのは、うれ
しい驚きでした。この数年、いや数十年、マスコミが日本経済は駄目だ、駄目だ、沈む、沈むと言い立ててき
たことが、どんなに我々の気を沈ませ、自信をなくさせてきたことか。
マスコミはいいことばかり書いていると、読んでもらえなくなることは承知していますが、日経が日本経済
のポテンシャルにこれから照明を与えてくれるというなら、大歓迎です。
と思っていたら、自民党が空中分解のようなことで、派閥解消とやら。小選挙区制になった時も、同じよう
な言葉が流行ったことがありますが、結局、大臣ポストの配分やら、政治資金を集めるパーティー開催やら、
あった方が便利だということで残存していたもの。
今回派閥解消と言っても無理で、何らかのgroupingは存続するでしょう。企業もそうですが、大きな組織で
は派閥的なものができやすいようです。将来総理の座を狙う何人かの有力議員は、今回の「派閥解消」で得を
する者、損をする者、様々でしょう。その詳しい様を、これから知りたいと思います。
台湾総統選は終わり――台湾危機が今起きる感じではありません―ー、これから3月17日のロシア大統領選、
4月~5月のインド議会選挙、そして何より米国大統領選挙に世界の関心が向くわけですが、その中で日本もな
にやらごたごたしていて、時々ニュース種になるというのは、悪いことではないと思います。
因みに、今月は一冊の新刊をご紹介します。政治学の泰斗、渡邉昭夫・東大青山学院大・名誉教授著の
「国際社会との関わり方を考える」です。同教授は歴代の政権でご意見番も務められ、国際政治、国内政治の
双方に目を配ってこられました。この本は、現在世界の枠組みが変わる中での外交哲学の修正、アジア太平洋
地域の変化、終戦後のパラダイムでは今の変化に対応できないこと、歴史認識の問題を論じた後、「21世紀と
は」という考察で終わっています。
固いアカデミックなものではなく一般向け、かつ100頁と短い書物ですが、中身はぎっしりつまっています。
応有尽有という感じ。最近流行っているprint on demandの書籍で、書店には出ていません。アマゾンなどで
検索して注文すると、プリントされたものが送られてくるという仕組みです。
というわけで、今月の目次は次のとおりです。
ウクライナ暫時停戦へ?
ロシアのごね得で終わるのか?
近代の価値観=「自由・民主主義・市場経済・国民国家」の相対化と今後
――河東の近刊に寄せて
エピローグ――そしてこれから
「人間らしい生活」がユニバーサルな価値観
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)