■授業を理解する
記憶というのはおかしなものだ。「学びたい」という気持ちが、な
ぜか習得に直結しない。むしろ、あえて学ぼうとしなかったことほ
どよく覚えている。
繰り返しが記憶に結び付いているとも限らない。お札の柄は何度も
見ているはずだが、何が書いているかすぐには答えられない。ぼん
やりとしか覚えていないからだ。
学習とは、エクササイズのようなものだ。負荷をかけたほうが効果
は高い。大きな課題に取り組んだほうが、長い目で見れば力がつく。
だが、脳はすぐに楽をしよう。注意が必要だ。
★
まず、授業を理解することだ。理解できなければ質問をすればいい。
ところが、自分が何を理解できていないかにも気づかないことが多
い。それを防ぐには、授業を階層的に理解することだ。
普通の会話では、頭に浮かんだことを話す。だから、話は話者の頭
に思い浮かんだ順番に話しがつながっていく。そして、脳はそうし
た日常的に行われる会話を理解するように進化している。
だが、授業というのは、前もって階層的に組み立てられている。だ
から、今話していることは、20分前に話したことと関連付けなけ
れば理解できないことがよくある。
だから、授業を聴く時は、講師が今話している情報といない情報を
関連付けながら聴くべきだ。話していることより深いところにある、
構成に関わる情報のつながりを捉えながら聴くべきなのだ。
★
授業は、受ける側にも義務がある。まず能動的に聴くべきだ。身の
入っていない学生は受け身だ。映画やコンサートの気分で授業を受
けている。だが、ただ聴くだけでは身につかない。
課題を先に読んでおくべきかどうかは授業次第だ。知識を前提に授
業を進めるなら読んでおいたほうがいい。読んでいかなくても支障
が無い時もあるし、受講後に読んだほうが効果的ということもある。
授業では質問をすべきだ。ところが、質問が苦手な人が多い。でき
ない理由は、周りや講師に迷惑を掛けなくない、頭が悪いと思われ
たくない、恥ずかしいなどだ。
たしかに、迷惑な質問もある。授業の内容と関係が無く、単に自分
の知識をひけらかすためにする質問だ。授業を深堀する質問も、一
部の人には迷惑と思われるかもしれない。
だが、基本的に質問は講師にとってはありがたい。講師に感想を伝
える意味合いもある。まともな講師ながら、学生が混乱していない
かが気になるものだ。直接言ってもらえればありがたいはずだ。
たとえ無知だと思われても、質問を恐れないことだ。恥ずかしけれ
ば、せめて一番前に座れば、人目は気にならない。まずは短めの質
問から挑戦すればいい。やがて楽になるはずだ。
★
ノートは効率的にとるべきだ。だが、授業を完璧にノートに写し取
るのは無理だ。人は、書く速さの6倍の速さで話すからだ。ノート
をとるのが苦手と感じるのは当然なのだ。
ノートは、授業を理解しながらとるべきだ。そのためには、異質な
プロセスを同時進行さえなければならない。極めて難しいことだ。
普通は殴り書きなどで書く速度をあげて追いつこうとする。
その結果、脳は、授業を理解することをあきらめてしまう。書くこ
とだけに注意を向けて、理解することに向ける注意を減らしてしま
うのだ。
もちろん、理解することと書くことのどちらを優先するべきかは授
業次第だ。大事なことは、どちらを優先するかを、授業中でなく、
授業に臨む前に決めておくことだ。
授業前にできることはやっておくべきだ。文房具はもちろん、パソ
コンを充電しておくなどだ。ただし、付箋を立てたり、マーカーで
色分けすることは、効果が無いのでやめたほうがいい。
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