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vol.213:ファーウェイの独自開発OS「ハーモニーOS NEXT」とは。脱Androidだけではないその意味

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2024/01/29
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 213 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、 ファーウェイのハーモニーOSについてご紹介します。 今年の1月18日、ファーウェイからハーモニーOSの新しいバージョン「ハーモニーOS NEXT」が発表になりました。本来はバージョン5.0と呼んでもいいのですが、わざわざNEXTと呼ぶのには理由があります。 ハーモニーOSはこれまでカーネルにLinuxを使っていましたが、これを排除し、100%自社開発のOSとなりました。これにより、Androidアプリが動作をしなくなるため、ファーウェイは各社にネイティブアプリの開発を依頼し、すでに500のアプリの開発が始まっていて、年内に5000アプリに達する見込みだと発表しています。 ファーウェイは、この3年間、チップとGMS(グーグルモバイルサービス)の供給が絶たれ、年間2億台を超えていたスマホ事業が3000万台に落ち込むという試練に直面しました。100%自社開発OSになり、ネイティブアプリが登場することで、このような米国の制裁に影響されない体制が取れることになります。 それだけではありません。ハーモニーOSは、ファーウェイがスマートカーシステムを提供するセレスなどの自動車にも搭載をされます。つまり、スマホ、タブレット、PC、自動車に同じOSが搭載され、次元の異なる連携が取れるようになるのです。ファーウェイは自動車とデジタルデバイスを同じものとみなし、それにより快適なユーザー体験を車に乗る人に提供しようとしています。 スマホメーカーの小米(シャオミ)もハイパーOSという自社開発OSへの移行をアナウンスしています。そして、近々、小米は自動運転機能が搭載されたEV「SU7」を発売する予定で、こちらにもハイパーOSが搭載される予定です。 ファーウェイは「万物互聯」、小米は「人車家全生態」という考え方を打ち出しています。つまり、ファーウェイと小米の独自OSは、脱Androidでもありますが、デバイスと人の関係を新しい段階に進めようとするものなのです。 今回は、ファーウェイの新しいOS「ハーモニーOS NEXT」についてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 213 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ ファーウェイの独自開発OS「ハーモニーOS NEXT」とは。脱Androidだけではないその意味 小米物語その132 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ファーウェイの独自開発OS「ハーモニーOS NEXT」とは。 脱Androidだけではないその意味 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回はファーウェイが発表した「ハーモニーOS NEXT」についてご紹介します。 2024年1月18日、ファーウェイの「鴻蒙系統」(ホンモン、HarmonyOS)の新しいバージョン「鴻蒙星河版」(HarmonyOS NEXT)が発表になりました。現在のハーモニーOSは4.0で、この新たに発表されたOSはハーモニーOS 5.0に相当するものです。それを5.0ではなく、NEXTという愛称をつけたのは、大きく変わった次世代版だということをアピールするためです。 最も大きいのは、サービス各社が続々とハーモニーネイティブアプリの開発を発表したことです。これまでのハーモニーOSは、Androidアプリのランタイムルーチンを内部に持っていたため、Androidアプリを実行することが可能でした。アプリの実力をフルに発揮するには、本来はハーモニーOSネイティブアプリの方がいいわけです。しかし、これまでなかなかネイティブ版アプリは登場してきませんでした。サービス各社にしてみれば、コストがかかってしまうからです。これまでもiOS版、Android版を別々に開発しなければならなかったのに、さらにハーモニー版をつくるというのは厳しいというわけです。 それがファーウェイMate60などの復活により、ハーモニーOS利用者が3億人を突破、搭載デバイスは8億台を突破というボリュームになってきました。もちろん、そのほとんどが中国国内ですが、ユーザー規模としてはAndroid、iOSに続く規模となったため、中国のサービス各社はコストをかけてもネイティブ版アプリを開発する意義があると判断したわけです。 特に「微信」(ウェイシン、WeChat)、「支付宝」(ジーフーバオ、アリペイ)などのスーパーアプリ、「小紅書」(シャオホンシュー)、「抖音」(ドウイン)、「快手」(クワイショウ)などのSNS、「王者栄耀」などの人気ゲーム、さらにはマクドナルドなどの外資系企業もネイティブ版アプリの開発を宣言しています。主要アプリはほとんどと言ってかまいません。2024年末にはネイティブアプリの数が5000に達するとされています。 これにより、エンジニアの間ではちょっとしたハーモニーブームが起きています。どのサービス企業でもハーモニー関連のエンジニアがまったく不足しているため、高給で募集がかかっているからです。ハーモニーといっても、開発言語はAndroidと同じようにJava/C/C++/JavaScripなどなので、Androidアプリ開発経験のある人であればスムースに転身をすることができます。もちろん、後ほど触れますが、開発環境はAndroidとかなり違うため、新しく学ばなければならないことは多いですが、自分のスキルを活かしながら報酬を大きく増やすチャンスであり、久々に湧いていて、人材の流動が激しくなっています。

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