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ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)2024年1月27日(土)号

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- はじめに --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------    年末年始に騒動を引き起こした自民党の派閥が関与した政治資金パーティーの裏金問題が、ある程度解決には向かう。  特捜部は安倍派、二階派、岸田派の元会計責任者を在宅起訴や略式起訴とした。また、安倍派に属していた池田佳隆議員を逮捕・起訴し、大野泰正議員は在宅起訴、谷川弥一議員は略式起訴とした。  しかし、注目されていた安倍派の幹部7人に対する立件は見送られ、これが「トカゲのしっぽ切り」と批判されることも。  今後の注目点は、自民党が設置した「政治刷新本部」が、この月内に発表する中間報告と、4月の補欠選挙や9月の党総裁選に向けた動き。  提案された改革案では、政治資金パーティーの禁止や派閥からの推薦を受け付けないことが盛り込まれたが、派閥そのものの解消は見送られる。  また、会計責任者が違反した場合の国会議員の連座制のような規定も含まれていない。そもそも、派閥は過去に解消されても復活したことがある。  問題は、自民党の派閥のあり方よりも、政治資金の透明性にある。政治資金問題の再発防止と派閥の弊害の解消が本来の焦点であるが、今回の改革案ではその点で「大いなる肩透かし」となってしまった。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「英史上最大の冤罪」 富士通の郵便事業者会計システムの欠陥で TVドラマ化で再注目 何が起きたのか? ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  富士通の会計システムに端を発した、イギリスの郵便事業者における大規模な冤罪事件が、英国民の注目を再び集めている。  事件においては、過去10年以上の間で、700人を超える郵便事業者が横領罪などで起訴され、弁済の要求の果てに破産したり、自殺する人まであらわれた。結果、「英国史上最大の冤罪」と呼ばれるまでに社会問題化。  最近になり、イギリスで事件を扱ったテレビドラマが放送され、事件被害者となった郵便事業者の救済の機運が高まるなか、英政府も巨額の賠償リスクを抱えつつ、富士通を追及している。  他方で、システムの不具合を見逃した英国の司法制度の不備も指摘され、問題は複雑化。英政府は、富士通の幹部を議会に召喚した。  イギリスでは、政府が100%出資する郵便会社である「ポストオフィス」の支店が、英全土に1万店以上ある。それらは、郵便窓口業務のほか、小売店の役割も果たし、あるいは、農村部の中心的な存在となっている。  今回、問題となったのは、ポストオフィスが1990年代に導入した富士通の「ホライゾン」という会計システム。  しかし、窓口で実際に集めた現金の額がシステム上の残高より少なったために、99年~2015年にかけて700人超が横領や不正会計の罪で起訴され、少なくとも4人が自殺した(1)。 目次 ・何が起きたのか? ・TVドラマ化で再注目 ・英司法制度の“欠陥”も指摘 ・何が起きたのか?  もっともホライゾンシステムは、富士通ではなく、1996年にイギリスのInternational Computers Limited(ICL)が開発し、2000年頃に導入されもの。  富士通は90年にICL株の80%を12億9000万ドル(約1877億円)で取得し、子会社化。98年に完全子会社化し、02年にはICLブランドは廃止される。  そのため、富士通自体が直接責任を問われなくても、英国の子会社が賠償命令を受けた場合、富士通の業績に影響を与える可能性が。また、ICLは多くの英公共部門の情報システムプロジェクトを受注してきた。  英治安判事裁判所の事案管理ソフトウェア「リブラ」や歳入税関庁、労働・年金省の情報システムなどだ。このようにホライゾンシステムだけでなく、英政府系のITシステムには富士通の技術が不可欠だという(2)。  ホライゾンシステムは99年からポストオフィスに導入されたものの、導入当初から多くの問題が報告。

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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