2024年 第4号 【長尾和宏の痛くない死に方】
長尾和宏です。あっというまに1月も終わろうとしています。
能登半島地震から、まもなく4週間です。
今日から能登空港から再開されたとの報道。ようやく知人や家族に会えるという人も
大勢いるようです。これからボランティアの人もどんどん入ることでしょう。
亡くなった人にあらためて、心からのご冥福をお祈り申し上げます。
地震で妻と3人のお子さんを亡くした42歳の夫の言葉がテレビで流れていた。
妻の珠洲市にある実家に帰省中の悲劇。家ごと土砂に飲み込まれてしまった。
ようやく執り行われた葬儀で、「生き残った私たちが命ある限り、亡くなった方々のこと
を思いつづけていきます」と話していた。そして、家族は「永遠の宝物である」と。
生きる者の義務とは、死者のことを忘れないでいること。
しかし、いつまでも悲しみに暮れていては、死者は救われない。
傷を癒しながら、前に向かって人生を再び歩きだしながら、それでも死者を忘れずに生きる。
心の傷というのは、7日ごとに癒えていくと古から言われています。
死者の弔いも、仏教では最初は初七日ですよね。その後、「四十九日(七七日)」まで
7回の法要を行います。仏教では、7という数字をとても大事します。
(キリスト教の聖書でも7という数字は、特別であるが。たとえば、天地創造が7日間で
そこから曜日ができたというし…)
仏教で7という数字が大切な理由のひとつは、お釈迦様が生まれたときに7歩、歩いたから。
そしてもう一つの理由。仏教の「輪廻転生」するまでには6つの世界を越えねばならないと
言われています。そう、「六道」というものです。この六道を越えた先にあるのが、七。
だから、7という数字を大切にする。
被災者に限らず、今、喪失の苦しみと孤独でいたたまれない人へ。
まずは7日、生きてみてほしい。死なないでほしい。
今すぐ死にたい人は、どうか7日待ってほしい。
そして7日後に、もう7日、頑張ってほしいな。
絶望の中から、7日ごとに、少しずつ光を見出していこう。
僕は先日のトーク&ライブで、谷村新司さんの『陽はまた昇る』を歌わせて頂いた。
これは、1979年に作られた谷村さんのソロデビューシングル曲である。
古すぎるかな? と思いきや、観客からすすり泣きが聞こえてきた。
素晴らしい歌詞が、皆さんの心に届いたことが、歌いながらわかった。歌ってよかった。
〈ああ生きているとは、燃えながら暮らすこと 春まだ遠く 哀しむ人よ あなたを愛す〉
春まだ遠く悲しみに暮れている人に、どう寄り添うか? 寄り添い続けるのか?
少し元気になったようだからまあいいか、ではダメなんだ。
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