睡眠時無呼吸症候群

ドクター畑地の診察室227.2024.1.28. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です 。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います！おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者（肺癌、喘息、COPD、肺炎など）を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説＆ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信！ https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身　自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け！radioを聴いてらんらんらん（lung lung lung）」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 睡眠時無呼吸症候群 　25年ほど前、当時三重大学に勤務していた私は、50kmほど離れた外勤先のT病院に週一回通勤していました。自動車で通勤していた訳ですが、高速道路を運転中、何度も眠くなりました。夜間には、家人から、地響きのようなイビキが聴こえると言われ、毎朝起きると頭痛があり、最悪の体調だったわけです。 　そんな中、近くの別の外勤先I病院に睡眠ポリソムノグラフィ（PSG、パリサンジェルマンではない）が入ることになり、検査してみませんかと言われました。一般患者さんが検査する前に行ったわけですが、I病院の院長、自分の三重大学附属病院の上司、自分と3人した内で、見事私だけが睡眠時無呼吸症候群と判明し、以降CPAPという機械のお世話になり、今に至ってます。 　CPAPという機械を装着した翌朝は、人生が変わる位爽やかな目覚めが訪れ、頭が冴え渡り、以降今に至るまで、片時も夜CPAPは手放せません。この効果は多くの方では数字上は出るわけですが、(睡眠時無呼吸症候群と言うのは1時間あたり10秒以上の呼吸停止が5回以上ある方のことをいい、5回以上あるからといって、積極的な治療対象になるわけではなく、20回以上の方が積極的な治療対象となります。この何回あるかと言う数値のことを無呼吸低呼吸指数AHIと言います。多くの方は、CPAP装着すると、このAHIが劇的に低下するわけです。)自覚症状の改善は必ずしも数値と並行するわけではなく、数値上はよく改善しているのに、かえってCPAPをつければ眠れないと言うような方もいらっしゃいます。別の治療法もありますが、一番確実なのはCPAPであり、CPAP治療が行えないとなると結構困ります。 　私は35歳の時から現在に至るまでほぼ20年以上CPAPを装着しています。その間30キロ以上減量に成功したため、もう一度検査をするとひょっとしたらCPAPが必要じゃない状況になっているかもしれませんが、睡眠するときにCPAPがないと不安で入眠できないわけです。CPAPは顎の部分のゴムと額の部分のパットで固定することが多く、そのため私の額の骨は少しへこんでいます。鼻にマスクをつけて空気を送る装置ですので、花粉症の際は鼻づまりでかなり困りますが、慣れてきた私にとっては、どうと言うこともなく、鼻づまりの上から鼻マスクを装着し、眠ってしまうことができます。不思議なことに翌朝は鼻づまりが取れていることが多いです。 　海外旅行に行く時もCPAPを持参して飛行機に乗るわけですが、特にドイツのルフトハンザ航空などは、CPAPを持参していると、体の不自由な方と同じような扱いをしていただくことができ、特別待遇を受けることができます。(航空会社によってまちまちです。)フライト時間が長く睡眠の必要があるときは、機内で装着する必要があります。そのため、エコノミークラスのスペースでは少し不自由であり、コストがかさんでしまうことがネックです。 　このCPAP装置旅行にも持っていけるような小型の装置もあるあるわけですが、一長一短です。このような機械を小型化すると、音がうるさくて眠れないこともあり、ある程度大きさのあるCPAP装置の方が性能が良いことが多いような気がします。 　空気を送る際の機械の加圧の仕方も、機械によってまちまちです。例えば、鼻対してソフトタッチで空気を送り込む装置は、AHIの改善がいまひとつですが、鼻には優しく、かなりハードタッチで送り込む機械はAHIの改善は良いものの、装着していて、不快感が強いなど、いろいろな機械によって特性があります。 　CPAPといってもメーカーによって、一律ではなくそれぞれのメーカーの機械の特性を熟知した医師によって処方されなければ、自分に適するCPAPは見つからないような気がします。 　この睡眠時無呼吸症候群、必ずしも太っている人だけがなるわけではありません。心臓が悪い方や顎が小さい方などもこの病気になってしまうことがあり、それぞれの病態に応じた治療が必要であり、医師の診療をお勧めします。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ドクター畑地の診察室227.2024.1.28号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身　自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け！radioを聴いてらんらんらん（lung lung lung）」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください！ ◆2023年12月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2023/12 2023/12/31 2023年を振り返って 2023/12/24 嬉しいメッセージ